374:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:11:17.37 ID:GFjxftzi0
「ははは、そう緊張せずとも。どうだいインデックスちゃん。ステイルくんは、ちゃんと君の幻想(くのう)を壊してくれたかな?」
「うーん……半分ぐらい、かも。乙女の懊悩は、一朝一夕には解決できないほど深いんだよ」
375:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:12:43.07 ID:GFjxftzi0
踵を返して妻と息子(とついでにローラ)の待つ最前席へ戻る、父親の後ろ姿。
それを束の間目で追ってのち、ステイルは花嫁――――インデックスへと向き直った。
376:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:14:06.35 ID:GFjxftzi0
「……申し訳ない、総大主教。その、ただ今列挙された方々すべてが、僕に?」
「うむ」
377:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:16:30.77 ID:GFjxftzi0
「丹念に作り上げた手作りの一品×千枚だ、ありがたく思っていいぞ」
「……メッセージカードのようなものですか? それにしても多すぎです。限度というものを知ってください」
378:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:17:35.73 ID:GFjxftzi0
仰角九〇度、距離三メートルの地点から威勢のいい声。
いま一度天窓を仰ぎ見れば、開け放たれたガラス戸から舞い込む大量の紙束。
会場を襲った紙吹雪に一堂が騒然とする中、そのうちの一枚をインデックスが拾い上げた。
片面が見覚えのある赤。
379:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:19:05.86 ID:GFjxftzi0
会場中に散らばった紙切れが、統率の取れた渡り鳥の群れと化してステイルの掲げた右手に集る。
荒く息を弾ませながら都合千枚のカードの束を器用に懐に収めた。
この収納テクニック一つとっても、ステイルの死活に関わる重大な企業秘密であるというのに。
380:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:26:39.03 ID:GFjxftzi0
「あっちゃー! よりにもよって俺のがインデックスの手に残ってたのかよ! やべ、恥ずかしくなってきた」
「さすがは当代一の不幸者よねぇ。我が夫ながら感心するわ」
381:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:28:19.91 ID:GFjxftzi0
最後に裏返した一枚には、名が記されていなかった。
『森然、今さら多くを語る気はない。達者でやることだな、ヘタレ神父』
382:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:30:29.29 ID:GFjxftzi0
その後の式次第はうってかわって極めてスムーズに、遺漏なく進んだ。
プロの楽団の演奏に合わせて賛美歌が響く。
形式通りのお堅い誓いの言葉が交わされる。
ベストマンとメイドオブオナーの助けを得て、指輪を互いの指にはめる。
383:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:32:27.05 ID:GFjxftzi0
「でもあの日、七月二十八日。あなたが、別の勇気を教えてくれたから。言葉で、力で、体で。たくさんのことを教えてくれたから」
すべてを見透かされていると知って、ステイルは苦笑した。
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