785:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/02(水) 23:27:03.88 ID:ubUBDJEVo
・・・・・・ざっと見た限り女の姿は見当たらないようだった。おかしい。
今日が僕の合格発表の日だと言うことは彼女も知っているはずだった。約束していたわけではないけど、受験生が今日の結果を担任に報告しに学校に来ることは、校内の人間ならみんな知っていたはずだった。その日の放課後に女が教室にいないなんて。図書館で待っていることはありえない。僕自身がさっきまで図書館にいたのだから。きっと、彼女はちょっと席を外しているだけなのかもしれない。僕は女の席の机を見た。その席は完全に片付けられていて、机の上にカバンがおいてあることもないどころか、机の中にも物一つ入っていないようだった。
どうしたのだろう。少し不安になった僕は背後から話しかけられた。
786:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/02(水) 23:30:50.63 ID:ubUBDJEVo
僕は、高校に入学するとまず生徒会に入った。新入生なので、もちろん選挙の必要がない平役員からのスタートだった。同時に、これまでの雑学的な趣味の対象の一つだったパソコン関係の部にも入部した。
クラスではもう傾聴やコンサルタンティング関係のスキルを発揮させなかったから、僕は目立たない生徒の一人だった。それでも成績が良かったことと一年生ながら生徒会のメンバーになったことで、ある種の秀才生徒的な位置は確保できていた。僕は生徒会活動と部活に打ち込んだ。生徒会では庶務から初めて会計や書記を経験したけど、どの仕事にも能力の全てを注ぎ込んだせいで、先輩たちの受けはとてもよかった。一年生の半ばで、僕はもう次期生徒会長と目されるようにまでなっていた。
平行していたパソコン部の方は、廃部寸前の過疎部だった。もともとは、学校側の肝入りでIT教育の一環として設立されたらしいのだけど、当時のパソコン部は学校側の期待を裏切りネトゲ廃人の巣窟と化していた。部室には高スペックなPCが溢れていたけれど、そのPCで行なわれていたのはネトゲのプレイはもとより、萌え絵の制作や初歩的なゲームのプログラミング、そして極めつけは単なる2ちゃんねるなどのネット閲覧だったのだ。
787:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/05/02(水) 23:31:26.60 ID:ubUBDJEVo
本日は以上。
また、明日再開予定です
788:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/03(木) 00:48:04.89 ID:qd1F7Emgo
乙です
789:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/03(木) 06:53:14.61 ID:v4CiPo0SO
ようやく全貌が見えてきたな
790:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage]
2012/05/03(木) 07:43:41.08 ID:y8K8bcO6o
え?俺にはまだまったく見えんが。
とりあえず先輩は会長と同一人物じゃなさそう
791:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/03(木) 23:46:51.82 ID:wdme9Ea1o
どんなに辛い出来事でも、時間という治療法に勝るものはないらしい。何も言わず僕から離れていった女のことであんなにも傷付いていた僕だけど、二年に進級する頃にはさすがに女のことを思い出して悩むことも少なくなってきていた。
うちの学校は公立上位校をライバルにしていたから、受験や進路指導に相当力を入れていた。その一環として定められたいたルールの一つに、生徒会や部活のトップは二年生が勤めるというものがあった。平たく言うと生徒会長や各部の部長は二年生が就任する。三年生の生誓いや部活への参加までは禁止されていないけれども、受験生にとって負荷の高い役員や部長への就任は禁止されていたのだ。
それで、実感としては二年生になった今でも、まだついさっき生徒会や部活に加入したばかりのような意識だった僕だけど、まずパソ部の部長にさせられることになった。こちらは手続きは簡単だった。前部長の鶴の一声で話はあっさっりと決まってしまった。もともと集団行動が苦手な部員たちが集まっていただけに、部長なんて面倒くさい仕事をしたがるようなやつはいるっはずもなく、部長の提案に全部員一致で僕が部長に選ばれたのだった。
792:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/03(木) 23:47:22.95 ID:wdme9Ea1o
部活と生徒会の先輩の勧めのどちらも、僕は二つ返事で引き受けた。女を失って他に熱中することが見つからない僕にとっては、それは好都合な提案だった。僕はもう、同級生たちのカウンセリングはしていなかったし、かといってあの幸せだった日々のように女といつでも一緒にいるわけでもなかったjから、せめてこういう活動の場に自己実現をしようと考えたのだった。
形ばかりの選挙が行なわれ、その結果僕は生徒会長に選出された。これで僕は、パソ部部長と生徒会長との二つの肩書きを持つことになったのだった。
793:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/03(木) 23:48:28.88 ID:wdme9Ea1o
十人前後の生徒会の新役員が集った席上で、僕は生徒会長としてあいさつしたのだけど、視線は幼馴染さんという新入生の書記に奪われたままだったかもしれない。女に突然姿を消され要するに女に黙って振られたに等しい僕は、一年間異性に惹かれることはなかった。女々しいかも知れないけど、異性のことを考えるときには常に女の笑顔が頭に浮かんでいたのだった。
その僕が幼馴染さんを見た時、一瞬目を奪われるほど彼女の姿がまぶしく見えた。まるで、女に好きと言われた時のような戸惑いが僕を襲った。でも、僕はすぐに体制を立て直した。たかが可愛い下級生を見たくらいで動揺するとは情けない。女みたいに内面からも僕を魅了するような女じゃないと、僕は動じないんだ。そう思ってその時の僕は同様を抑えて、先輩らしく新たち人にあいさつしたのだった。
幼馴染さんが生徒会の役員に加わると、何となく男の役員たちが彼女を巡って微妙な駆け引きを繰り広げるようになった。僕は内心不愉快だった。ここは生徒活動を自主的に管理する組織なのに、恋愛とかに現を抜かしていてどうするのだ。僕は中学生の時の自分を棚にあげて憤った。これで幼馴染さんが有頂天になり男たちを操っていたりしたら、僕も断固として男共や幼馴染さんに注意したと思うけど、幼馴染さんは男たちの誘いに全く興味がないようで、むしろ自分を巡るそういう男たちの争いに無邪気に戸惑っているようだった。
794:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/03(木) 23:50:08.36 ID:wdme9Ea1o
幼馴染さんを争っている役員たちの確執に手を焼いた僕は、副会長に相談した。意外なことに、副会長は結構幼馴染さんのことを知っているようだった。
「心配することはないと思うよ」
彼女は言った。「幼馴染さんって、同じ学年の兄君っていう子と付き合ってると思うし」
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