879:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/11(金) 21:55:00.93 ID:ZNdUCQ6Mo
その頃になると妹は僕の様子を気にする余裕もなくなったみたいで、手が震えるどころか全身を震わせ目にはうっすらと涙を浮かべるようになっていた。
僕は次の言葉を催促せず彼女が落ち着きを取り戻すのをじっと待った。心情的には妹の手を握るか肩を抱くくらいはしたかったけど、それはせっかく心を開いた彼女を警戒させてしまうかもしれない。それにこの頃になるとだんだん僕は落ち着きを取り戻してきていた。むしろ今では取り
乱しているのは妹の方だった。僕は心理的に妹より優位に立ったということもあり、彼女が再び話し出すのを余裕で待つことができたのだった。
「あたしがお姉ちゃんにそう話したとき、お姉ちゃんは最初は驚いていたの」
しばらくして自分の袖で涙を拭いた妹が話を再開した。
「だから、あたしは最初はお姉ちゃんがお兄ちゃんのことを好きだと思っていたのは勘違いかなって思ったんだけど・・・・・・そうしたらお姉ちゃんが、妹ちゃんありがとうって言って」
ここで彼女はまた俯いて涙を浮かべたけど、今度はそれほど取り乱すことはなかった。
「それで、その後何が起きたの?」
僕は興味本位の質問と取られないよう努めて静かな口調で聞いた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃんに告白したんだけど・・・・・・お兄ちゃんにすぐには返事できないって言われて」
「保留されたってこと?」
「うん・・・・・・。一応、親友の兄友さんがお姉ちゃんのことが好きみたいでそのことを気にしてるらしいんだけど」
「一応ってどういう意味かな」
僕はそこがかなり気になったので、本当はまだひたすら話しを聞きだしていなければいけない段階なのだけれど、思わず突っ込んでしまった。
「あたしね、お兄ちゃんに好きな人ができたんじゃないかって思った。それでお姉ちゃんの気持ちに応えなかったんじゃないかって」
妹はそう言った。いったん収まった体の震えが再び彼女を襲ってきたように見えた。
「それがこのメールの『女』なんだ」
僕はそう言った。妹は一瞬ためらったけど、結局はゆっくりと頷いた。
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