209:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:03:12.65 ID:87ru5DuQ0
ゼマルディの花は、芯に当たる部分が砂のように砕けてしまっていた。どんなに握ってもびくともしなかったのに、何故壊れてしまったのか分からない。先ほどまでは分からなかったが、衝撃を受けた彼女の右手。その親指から中指までが青黒くなり、内出血を起こしていた。何か打撃を加えられた痕のようだった。
むくりと起き上がり、ベッド脇の棚から裁縫道具を取り出す。彼女が唯一周りに誇れるのは、これ……裁縫の腕前だった。刺繍などは得意だが、注目されるのが怖いので、人前で行ったりしたことは殆どない。
「直るかな……」
呟いて、ズキズキと痛む右手を庇うようにしながら針に糸を通す。そして花びらに突き刺そうとして……どんなに力を入れても通らないことに気づき、首を捻る。
硬い。物凄く。
ペラペラした布のようにも見えるのに、まるで鉄板だ。
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