211:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:04:15.46 ID:87ru5DuQ0
今も、泣きそうな顔をしているのをルケンは想像して笑っているのだろうか。
こんな無様な私のことを、彼は楽しんでいるのだろうか。
入り口近くの戸棚に目を向ける。そこには、一輪のバラのように茎も花びらも真っ赤なサクサンテの花が、コップに入れられて立っていた。ルケンの花だ。ゼマルディのものよりも数段大きく、また、彼のように繊細な造形ではない。花びらの枚数もとても少ない。大雑把な……造花ともいえないような代物だ。
そこに手を伸ばしかけて、しかし思いとどまってやめておく。
そしてカランは、唇を噛んで一つ一つゼマルディの花びらを拾い集め始めた。なくならないように、小さい頃から大事にしている道具箱に入れていく。
そこで彼女は、部屋の片隅に人の気配を感じて顔を上げた。
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