266:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/12(日) 20:04:46.25 ID:z5UY+Nzb0
そのまま水泡の中に溜まって腐り始めていた体液の混合物を吸い取り、小さく咳き込みながら脇のもう一つのバケツに吐き出す。口を拭いてから息をつき、それを何度も何度も繰り返す。あまり強くやったらゼマルディが起きてしまうかもしれない。あくまで静かに、なるべく刺激を与えないように。
綺麗に崩れた皮も舐めとり、ある程度見れるようになった部分から、自分の一着しかない一張羅……小さい頃部屋の中で育てていた地下蚕の繭から作った糸で織った白いケープを手に取り、手で引いて小さな切れ目に分ける。
確かこの蚕の糸には強力な殺菌効果があったはずだ。ゼマルディは傷口に薬を塗っていたが、どうも痛みで当てが外れていたらしく、その殆どが火傷の外に向かって流れてしまっていた。これではあまり効果がない。かといってカランにはそんな薬を作る知識も、その技能もなかった。
とりあえず精一杯、布を水につけて手で挟み、息を吹きかけて温めてからゼマルディの顔の傷口に貼り付けていく。膿を吸い取ってから布を貼るのを何度も繰り返す。
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。