370:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:08:10.80 ID:EmuY6hvN0
思わず後ずさる。
それは考えてやったことではなかった。
反射的に、医者であり病人を救うことが出来る彼は、しかしそれでも尚……明らかにおかしい彼を見て後退したのだ。
これ以上近づいたら危ない。
理由は分からない。分からないが、そう感じてしまったのだ。
そこでハッとして、ベッドの隅に丸まっているカランに目をやる。
白髪の少女は背中から骨羽を垂れ下げ、ガラスが割れたような音を断続的に発しながら、胸を押さえていた。シーツの脇には吐き散らしたのかおびただしい量の吐しゃ物が見て取れる。ひとまず異様な大男から離れることを、ドクは優先した。
カランに駆け寄り、ぐったりしているその体を抱き上げる。
目を半開きにして力なく息をしている少女には、反応がなかった。切断した右足には義足が取り付けられている。どうやら逃げるつもりだったらしい。
カランの体は、想像をはるかに超えて軽かった。子供かと錯覚してしまいそうなほど、重さがなかった。パサついた白髪を後ろに流してやり、足を踏み出し。
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。