369:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:07:42.95 ID:EmuY6hvN0
「ウルルルルルルルルルルルルルルルル」
少なくとも、ドクの耳にはそう聞こえた。頭を抑えている間から、彼の無事な方の左目が……まるで発光ダイオード、それを連想させる強い赤色に発光しているのが見て取れた。
カタカタ、と彼の周囲に転がっている、割れた茶碗の破片が動いていた。地震ではない。確かにマンション自体は揺れているが、それによるものではなかった。大男の体に引き寄せられるように震えているのだ。
半開きになった口からは涎が垂れ下がっている。その長髪は、根元から水の中のようにゆらゆらと揺れていた。
体が小刻みに震えている。
「なっ……何だ……これ……」
それは、ドクの見知った人間であり、友人である彼の姿ではなかった。容姿ではない。雰囲気……それが人間ではない何か。端的に近寄れない、近寄ることを本能が拒絶している。
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