41:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 16:41:07.45 ID:A45p+aH70
その通りは彼らから見て右側が路上市、そして少し離れた左側が、ビルの混在しているエリアになっていた。ビル街の方に行きたいらしく、彼は周囲の視線を集めながら師を胸の前で抱え、そして丸まっていた背を伸ばした。
自分よりもはるかに逞しい弟子に抱きかかえられ、愛寡は頬を赤くしながらもガチガチに緊張していた。彼女が義足を庇うように体を丸めた時、爪はビル街の一方向を見据えて、そちらに向かって体を動かした。そして前髪で隠れた中にある目が、獲物を狙う鷹の目のように収縮する。
電動鋸で鉄を削るような、軽い金属音がした。それと同時に、爪の首筋にある片方……黒い方の核が、淡い光を発する。
次の瞬間、師を抱えた彼の姿が。
まるでテレビのチャンネルを変えたように、フッと掻き消えた。
いや……消えたのではなかった。つま先で地面をコツリと叩いた途端、まるで地面が超軟化したトランポリンのように、彼らの体を跳ね上げたのだ。
それも、目に留まらないような高速で。
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