416:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:21:14.91 ID:Z6fjuYRs0
瞳から段々と光がなくなっていくルケンの前に立ち。
半分ほど生身に戻ったゼマルディは、血まみれの体中で彼を、覆いかぶさるように見つめた。
そしてまだ爪が残っていた左手を振りかぶる。
「や…………やめろ…………」
417:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:21:43.07 ID:Z6fjuYRs0
「ひきょう、だ…………ひきょうだ……」
「…………」
「こんなの…………ひきょう、だ…………」
418:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:22:13.06 ID:Z6fjuYRs0
「しにたく…………な………………」
「…………」
「いやだ………………いやだ…………」
419:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:22:40.39 ID:Z6fjuYRs0
ミキミキと鈍い嫌な音をさせながら、ゼマルディがルケンの胸に突き立った五本の爪を動かしていく。それらは少年の心臓を探し当てると、たちまち肉、皮と共に握りつぶさんばかりの力を発し。
その瞬間。
ゼマルディは横殴りに。
生身に戻っていた血まみれの側頭部を……風を切って飛来した鉄の塊に殴りつけられ。
もんどりうって何度か地面をバウンドしながら、数メートル先の道路を滑り。
420:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:23:55.62 ID:Z6fjuYRs0
お疲れ様でした。
次回に続かせていただきます。
毎回お付き合いいただいている方々に感謝いたします。
421:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/02/17(金) 00:44:18.50 ID:xdvs2eeVo
乙
422:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:17:11.18 ID:JYEl3aKe0
こんにちは。
今日の更新で、黒い一族編は最後になります。
お話はまだまだ続きますので、お付き合いいただければ幸いです。
423:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:21:12.64 ID:JYEl3aKe0
13 カラン
彼女の声が聞こえた。
ゼマルディはぼんやりと目を開けた。
朝の光が、瞳を打つ。
424:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:21:52.62 ID:JYEl3aKe0
――あぁ、ここは。
ここは、そういえば。
「ゼマルディもこっちに来てよ。凄いよ」
425:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:22:48.30 ID:JYEl3aKe0
靴を脱いで、小川に足をつける。
ひんやりとした冷たい水が体中に浸透したような感じだった。思わず肩をすくめ、苦笑いしてからカランに歩み寄る。
そこで妻は、足元の小石に躓いてぐらりと前のめりに倒れこんだ。慌ててそれを押さえようとして……もつれこみ、一緒に水の中に尻餅をつく。
膝に小さな彼女を乗せるような形で、ゼマルディはしばらく呆然としていた。少ししてカランが小さく噴き出し、そして水の中で硬直しているゼマルディの体に向き直り、そして抱きついてくる。
青年はしばらく戸惑っていたが、やがてそっと彼女の後頭部に手を当て、ゆっくりと撫でた。
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