過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
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436:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:28:38.22 ID:JYEl3aKe0
「……」

「人が何より欲しいのは、そういうことなんだと……私は思うよ……」

「……」
以下略



437:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:29:06.83 ID:JYEl3aKe0
「もっと、もっと幸せになろうね……」

それは、問いかけではなかった。
確認でもなかった。
それは、少女の。
以下略



438:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:29:37.66 ID:JYEl3aKe0
「……」

「この私達の家で、二人だけは、ずっとずっと……ずっと、生きて……いこうよ?」

「……」
以下略



439:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:30:05.34 ID:JYEl3aKe0
カランは、もう一度。
片手で腹を押さえ、もう片手でゼマルディの腰に手を回し、そして彼の胸に体を預けた。

「あぁ……」

以下略



440:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:30:38.96 ID:JYEl3aKe0


 怒鳴り声が聞こえた。
銃弾? 砲弾?
分からないが、飛び道具で射撃されたことだけは確かだった。奇跡的と言っては奇跡的に、その飛来した銃弾は、ゼマルディの剥がれかけていたウロコ――こめかみのひとつに突き刺さり、鉄のようなその表面を僅かに削っただけで脇にそれていた。
以下略



441:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:31:17.60 ID:JYEl3aKe0
「少年の救助を優先! 第二射撃、用意!」

高く、澄んだ女性の声が拡声器を通じて周囲にこだました。血走った目をやっと上げた彼の目に、数十メートル離れた所に転がっているルケンに、多数の警備服というのだろうか。頑強なヘルメットとアーマードスーツ、つまり強化服をアンドロイドのように着た黒づくめの男たちが群がるのが見えた。
しかし視界が回っていて定まらない。
それほど、先ほどの射撃は正確で。
以下略



442:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:31:49.91 ID:JYEl3aKe0
(何だ? 何だ何だ? ナンダ?)

対魔法使い用の、強襲弾だった。戦車の装甲でさえもへこませる威力を持つ、さながらロケット弾のような代物だ。意外と近距離で対象に命中させるのは難しいらしく、飛来したうちの大部分はゼマルディをそれ、脇に着弾し、鉛と鉄と、地面を砕いた破片を火花と共に撒き散らした。
そのうちの一弾が、折れ曲がっていた青年の腕……残っていた左腕に撃ち当たり、簡単に中ほどからを千切り弾け飛ばす。その勢いでゼマルディは、殆ど最後のウロコを撒き散らしながら空中に跳ね上げられ、また地面をバウンドして転がった。

以下略



443:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:32:19.94 ID:JYEl3aKe0
サバルカンダはスラム区画だ。それは統治が為されていないという事実に直結する。
が。
それはその反面、市民による無法規の自警団を容認するという一面も有していた。事件団といえば聞こえはいいが、ようはただのマフィアだ。しかしそのような悪党共でも、一致団結して身を守ろうとする時はある。
それは、全ての人間に均等に命の危険があるときだ。

以下略



444:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:32:51.81 ID:JYEl3aKe0
関係ないと思っていたので、よく聞いてはいなかった。事実関係はなかった。もし自警団にお抱えの魔法使いがいたとしても、どう考えてもルケンにかなうわけがないと思っていた。信用できるのは自分の力だけだ。その自分の力がかなわないなら、逃げるしかない。
そう、考えていた。
揺れる視界の奥に、スナイパーライフルのような、細身の狙撃銃を連想とさせるものを担いだ多数の兵士が見てとれた。フォルムは狙撃銃だが、違う。後部が大きくせり出していて、二人がかりで支えている。視界が回転しているために正確な数は分からないが、少なくとも道の前後で五十近いそれに狙われていた。

「救出急いで! 一般人をエリアの外!」
以下略



445:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:33:19.98 ID:JYEl3aKe0
彼女は背筋を伸ばし、震えながら立ち上がったゼマルディを見るとまた声を張り上げた。

「第三射撃用意! 一般人の救出が完了、私が止めを刺す!」

(…………ナンダ?)
以下略



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