463:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:42:17.56 ID:JYEl3aKe0
噛み締めた歯が何本も砕け散る感触と、肉と骨を断ち切る刃の感触。
スローモーションの夢の中で、女は断ち切られた自分の足を唖然と見つめ……そしてその場にゆっくりと崩れ落ちた。
それは、カランが切られた足と同じ場所だった。
地面に転がったゼマルディの目には、白目など既に何処にもなかった。眼球それ自体が真っ赤に染まり、さながら野獣のような様相を呈していた。
彼は、転がって目を丸くしてこちらを見ている、赤い髪の女に対して。
464:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:43:58.46 ID:JYEl3aKe0
お疲れ様でした。次回の投稿に続かせていただきます。
黒い一族編はここで一旦終了いたしまして、これからは三年後のお話になります。
まだまだお話は続いていきます。お付き合いいただければ幸いです。
465:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 00:43:28.03 ID:rIc6JsyG0
第二章のWikiをまとめていただいていました!
ss.vip2ch.com
ありがとうございます!!
466:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:49:43.84 ID:rIc6JsyG0
こんばんは。
今回から第二章の、黒い一族編の三年後からのお話になります。
第2話に戻りまして、お話が進行していきます。
467:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:53:18.81 ID:rIc6JsyG0
14 死した人
目を開いた。
彼の声が、聞こえた気がした。
彼は、そこにはいなかった。
468:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:54:03.92 ID:rIc6JsyG0
彼女はそれを、自分自身のカルマであると自覚はしていたが、やはり気持ちいいものではなかった。
視線を彷徨わせている主を見て、浮屋という老人は、眼鏡を指先で上げてから問いかけた。
「どうかなされましたか? また、お加減が優れないので? 退席されますか?」
469:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:54:50.15 ID:rIc6JsyG0
そこで、彼女は自分の影が軽くざわめいたのを見た。
浮屋にばれないように視線を移動させると、椅子に座っている自分の影が、ひとりでに動き出し、奥の控え室の方を指で指した。
彼女はコホン、と小さく咳をして、浮屋に言った。
「……やっぱり、具合、悪い。休む」
470:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:55:17.64 ID:rIc6JsyG0
競りあがってきた男は、唖然としている愛寡に向けて声をかけた。
「愛姉ェ。お久しぶリデス」
奇妙にノイズがかかったその声を聞いて、愛寡は弾かれたように振り返った。
471:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:56:10.85 ID:rIc6JsyG0
功刀はそう言うと、影の中に手を突っ込んで、昏倒している青年、爪を掴みだした。
「爪……!」
小さく呟いて、愛寡は義足を鳴らしながら弟子に駆け寄った。
472:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:57:22.58 ID:rIc6JsyG0
*
警備員に周囲を固められた、自身の部屋に駆け込み、愛寡は息を切らしながら扉に鍵をかけた。
その影がざわめいて、爪を片手で抱えた功刀が競りあがってくる。
彼はソファーに、両手両足をワイヤーで縛りつけた爪を放り投げてから、息をついて壁にもたれかかった。
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