513:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:07:01.86 ID:PLPcklEN0
「お嬢様……」
里に抱きかかえられ、燐はガゼルに背を向けた。
「……魔法使いを殺すって……またこの前みたいに、戦うってことなんですの?」
514:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:07:45.95 ID:PLPcklEN0
「元々、俺の行動プログラムは、魔法使いを殺すために構築されてる。戦闘用プログラムなんだ。どうしてと聞かれても、それは俺がそのために作られた兵器だからとしか言えない」
「あなたは兵器ではありません。まだ、今なら戻ってこれます」
里に真っ直ぐに見つめられ、断言される。
515:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:08:29.14 ID:PLPcklEN0
虹は、相変わらず無表情のまま、ガゼルにまたがった。
「ちょっと……虹さん!」
『行くよ』
516:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:09:06.45 ID:PLPcklEN0
シャコン、という音がして、ガゼルのガラスがしまり、虹を覆い隠す。そして、トレーラーのハッチ後部がゆっくりと開き始めた。
吹き込んできた雪から燐を守るように立った里の後ろで、燐は雪の中に滑るように走りこんでいった虹に向かって何かを叫んだ。
しかし、虹達が外に出た途端、トレーラーのハッチが支えを失い勝手に閉まり、その声が遮断される。
517:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:09:39.73 ID:PLPcklEN0
しばらく虹はガゼルを走らせると、不意に止まった。
そして、巨大なクレバスの前でエンジンをふかす。
ガゼルの前部ライトがつき、暗闇を映し出した。
518:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:10:49.25 ID:PLPcklEN0
『地底に向けて伸びるバベルの塔ね』
『ドームなのか……? どうして、クレバスの中に……』
『見つかりにくいところに建築したのね。道理で、衛星情報にも載っていない筈だわ』
519:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:11:35.41 ID:PLPcklEN0
虹の言葉を一瞬理解しそこね、ガゼルは聞き返した。
『一匹のものじゃないって……』
『ハイエイトクラスが二匹。それ以外が無数。感知できないくらいいる。魔法使い』
520:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:12:01.36 ID:PLPcklEN0
虹は、最後まで聞かずに、巨大な円錐に向けてハンドルを切った。
エアバイクが浮き上がり、猛スピードで、下層に当たる部分に近づいていく。
『虹!』
521:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:12:35.54 ID:PLPcklEN0
*
人が行きかう街中で、ポケットに手を突っ込んだ黒服の男が歩いていた。
巨大な身長は、嫌でも人目を引く。
522:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:16:42.35 ID:PLPcklEN0
赤子……人間の子供、それも胎児……手の平サイズのそれが、パリパリに焼かれて皿に載っている。
焼かれる過程で破裂したのか、眼球が飛び出していた。
それにナイフとフォークを入れ、口に運んでから、功刀はコーヒーをグビリと飲んだ。
523:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:18:31.07 ID:PLPcklEN0
甲高い少年の声だった。
「お腹、すいたな。すいたの。このままじゃ、私達、暴走しちゃいそう、しちゃいそうなの」
今度は、柔らかい女の子の声がする。
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。