525:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:19:44.60 ID:PLPcklEN0
それは、図らずも、昔兄が描いていた理想郷にほぼ近く。
魔法使いにとって、理想的な環境。
いや、魔法使いにとっては、夢である環境が展開していた。
526:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:20:18.22 ID:PLPcklEN0
しかし、魔法を使えるのは、ほんの一握りのようだ。
その証拠に、魔法使い特有の気を感じない。
いわゆる、半魔法使い。
527:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:20:47.20 ID:PLPcklEN0
「何がおかしいの? ねぇ何がおかしいの?」
「何か面白かった? 料理はおいしいわ。ええ、おいしい」
続けてアルビノの猫、シェンダアンスが言う。
528:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:21:15.47 ID:PLPcklEN0
「どうシタ?」
功刀が呼びかけるも、二匹は頭上を見上げて停止している。
やがて、アートナーが髭を揺らしながら口を開いた。
529:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:21:44.68 ID:PLPcklEN0
「どうなのカト、聞いテル」
「くさいくさい。女の子だね。でも、腐ってる腐ってる」
「あぁくさい。功刀、見られてる。見られてるわ。あぁやだ、本当やだ」
530:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:25:22.65 ID:PLPcklEN0
「うん、うん」
「ええ、ええ」
「お前ら、先に行け。俺は少し片付けなければいけない用事がある」
531:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:26:04.84 ID:PLPcklEN0
*
目の前には、地獄が広がっていた。
「何だ……これ……」
532:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:26:37.52 ID:PLPcklEN0
壁に、無数の人間が磔にされている。
両手両足は存在していない。
目玉や舌は抉り取られたようで、耳もない。
533:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:27:13.51 ID:PLPcklEN0
全員女性だと思われる。
子宮があったと思われる場所が切り開かれ、中に半透明の袋のようなものが差し込まれている。
その中には、へその緒が浮いていて、人間の胎児が浮いていた。
534:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:27:47.05 ID:PLPcklEN0
室温は一定に保たれているようで、温かい。
ガゼルは、とりあえず進入した痕跡を消そうと無理やり思考を切り替え、後部からピノ粒子を四散させた。
それが、壁に開けた穴を塞いで、元通りに戻す。
535:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:28:14.60 ID:PLPcklEN0
ガゼルはそれに、ヒステリックめいた、素っ頓狂な声を返した。
あまりに引きつったため、声にノイズが混じる。
『どうイウこと? 人間牧場? 人間ガこんなコトをするってイウの?』
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