632:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:54:59.31 ID:mkVHEDB80
燐は無理やりに体を起こすと、
里を引き倒してトレーラーハウスの中に転がり込んだ。
今まで彼女達がいた場所を、一拍後、
熱線のような赤い光が通り過ぎた。
633:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:55:45.49 ID:mkVHEDB80
その火の中、燐は呆然と座り込んでいた。
耳鳴りがして、よく音が聞こえない。
彼女の首筋の核は、凄まじい光を発していた。
634:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:56:31.11 ID:mkVHEDB80
その先には、巨大な小山のような物体が鎮座していた。
キュラキュラとキャタピラの音がする。
肩には、レーザーの発射台がついている。
635:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:57:29.80 ID:mkVHEDB80
普通であれば、当たった瞬間に蒸発してしまうような、
高密度の熱線を受け、しかし燐はひるむことなく右手を突き出した。
ドパンッ! ドパンッ! と鈍い音がして、
まるで水鉄砲を防いだかのように、周囲に熱線が飛び散る。
636:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:58:10.47 ID:mkVHEDB80
「お嬢様!」
燐の周りをたゆたっていた水が、
バシャァ! と支えを失って崩れ落ちた。
637:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:58:47.33 ID:mkVHEDB80
背中が真っ黒にこげている。
銃弾が頭部に当たったらしく、
バチ……バチ……と不穏な音を発していた。
638:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:59:24.21 ID:mkVHEDB80
またえづき、胃液を吐き出した燐の前でエンドゥラハンは停止した。
そして、彼女にマニュピレーターを伸ばす。
機械の腕を見て、燐は青くなった。
639:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:00:12.00 ID:mkVHEDB80
そこで、エンドゥラハンが大きく揺れた。
燐が強く揺さぶられ、悲鳴を上げる。
凄まじい音がして、
640:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:01:06.55 ID:mkVHEDB80
男性は弾が切れたガトリング砲を脇に投げ捨てると、
僅かに浮いた自分の影の中に手を突っ込んだ。
そして、今度は細身の……砲身が二メートル以上あるレーザー砲を、
まるで影が沼であるかのように、ズルリと抜き出した。
641:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:01:59.53 ID:mkVHEDB80
*
(まさカ……)
目の前で倒れている女の子を見下ろし、
642:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:02:38.62 ID:mkVHEDB80
およそ人間ではなしえない所業をしてもなお、
功刀は息一つ上がっていなかった。
彼は自分のコートを脱いで燐にかけると、
上半身をむき出しにした状態で、エンドゥラハンに向けて歩き出した。
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