78:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 17:06:05.10 ID:A45p+aH70
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白目を剥いて痙攣している相手を呆れた顔で見下ろし、黒コートの大男は息をついた。そしてポケットから右手を出し、自分の顔から飛び出したコードをカリカリと指先で掻く。
凄まじい惨状だった。
ここで止めなければ、まず間違いなくこいつはここ一帯を、この謎の力……魔法でぶち壊してしまっていただろう。それが確信できるほどの破壊痕だ。
ビルの今いる五階フロア。その一部が半分以上、完全に倒壊してしまっている。そしてそこにあったはずの部分は、隣のビル……いや、よく見るとその隣のビルまで榴弾のように貫通して突き抜けている。
このフロアの後方には、頭を吹き飛ばされた関係ないこのビルの職員の死体。先ほどビルと共に弾かれたほかの職員の姿は確認さえ出来ない。
床に開いた穴などに張り付いている、爆散させられた自分の体の残りカス。それを大男が一瞥すると、血液や肉片。それら全てがゼラチンのようにグズグズに崩れ、数秒も経たずに全て海苔を連想させる黒色の塊に変質した。それがずるりと動き、壁に染み込み……そして『影』となる。
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