79:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 17:06:37.20 ID:A45p+aH70
瓦礫の隙間や光の死角などに潜り込んで、他の影と同化したのだ。
軽く首の骨を鳴らし、また息をついた大男の目に、まだ無事だった方の階段から小さな白い影が駆け上ってくるのが見えた。
それは、すらりと長い足と尻尾を持った一匹の猫だった。鼻がツンと上を向いていて、立派なヒゲが長すぎるほど外に広がっている。赤い瞳だった。アルビノなのかもしれない。
その猫の頭には、やはり白いモルモットがピンク色の指でしがみついていた。こちらの目も赤い。モルモットの方は子供の握り拳ほどの大きさで、どちらかというとトビネズミのようにも見える。肌色の足と尻尾が覗いているが、それらを覆うように、長く細かい毛が毛玉のように生えている。
それら二匹の動物には、色素欠乏というアルビノ症状以外にもう一つの共通点があった。
猫は右腕、モルモットは尻尾にそれぞれワインレッドの包帯がぐるぐる捲きに捲かれていたのだ。
その動物達は、まず部屋を見回すと突っ立っている大男を見止め、彼に走りよった。そして猫とモルモットがそれぞれ黒いコートに取り付き、猫はマフラーのように首。モルモットはコートの胸ポケットに収まる。
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