968:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/07(月) 17:51:29.27 ID:hlIYQLnr0
その隣に泉がいた。
涙が一瞬だけ硲の方を見る。
硲は、そこでハッとして慌てて体を反転させた。
そしてもがいている愛寡の上に出現し、
彼女の手を引いて引っ張りあげる。
愛寡が泣きじゃくりながら硲の服にしがみつく。
「服を伸ばすな……!」
苛立たしげにそう言って愛寡を抱き寄せると、
硲はまた体を反転させた。
彼と愛寡の体が掻き消え、
今度は飲み込まれかけていた更紗の上に出現する。
「くそっ……間に合え……!」
呟いて、指先だけが出ている黒い水面に手を突っ込んで、
更紗を引きずり出す。
気を失っているのか、彼女はぐったりと脱力していた。
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