過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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2012/12/03(月) 00:00:39.50 ID:9XAgl6KG0
「はい、今日は皆さんに転校生を紹介しまーす」
ほむらが退院して凡そ一週間が経過し、予てより決定していた見滝原中学への転入初日。
見慣れた面々の前に立つほむらのすぐ横では、担任教師である早乙女和子が教壇の上から生徒達に語り掛けている。
以下略
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2012/12/03(月) 00:19:02.98 ID:9XAgl6KG0
『係の人にお願いしますから』
なんと残酷で、人を無自覚に傷付ける言霊であろうか。
暁美ほむらにとっても、今この場に居るクラスメート全員にとっても。
たった一言で空気が一変してしまう、触れただけで人を傷付ける剣呑な抜き身の刃そのものだった。
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2012/12/03(月) 00:33:23.41 ID:9XAgl6KG0
さやかと二人で教室を出て通路を一度折れ、保健室への中途、新校舎と旧校舎とを結ぶ見晴らしの良い
渡り廊下まで来る道すがら、ほむらは現在自らが置かれている状況を頭の中で整理していた。
ほむらは今日見滝原中学に転入して、さやかの案内で保健室へ向かっている。
本来はこの橋上に於いてまどかとの問答があり、保健室へ行くことなどは二の次であるのだが
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2012/12/03(月) 00:34:06.59 ID:9XAgl6KG0
授業中の保健室というものは、休憩時に輪を掛けて静寂に包まれる。
ほむらは部屋を立ち去る間際、まだ何か言いたげにしていたさやかを適当に送り出し、
自身の他には保険医しか居ない室内の白い間仕切りの向こう側、仄暗い中をひとりベッドに腰掛けて寛いでいた。
転校初日から授業をサボタージュして保健室に屯するというのは些か以上に褒められぬ行為だが、
この際不可抗力だと割り切ることにして、折角だから悪甘い午睡でも愉しもうかと邪な考えを巡らせる。
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2012/12/03(月) 00:34:43.96 ID:9XAgl6KG0
「コーヒーが好きなの?」
「……多少は」
「紅茶よりも?」
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2012/12/03(月) 00:35:25.39 ID:9XAgl6KG0
「……」
「そんな鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しないでよ。
この資料は――完璧に近い。ほんの何日かで調べたにしては、幾らなんでも詳しすぎるわ」
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2012/12/03(月) 00:36:20.08 ID:9XAgl6KG0
マミは慎重にならざるを得なかった。
知り合って間もないほむらに預けるには余りにも命が重い、そう思った。
共闘が望めないという確信はマミの落胆を深める結果に繋がったが、
ほむらが信頼に値する人物であれば、其処に一抹の寂寥はあれど、憂うことなく託せるのだ。
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2012/12/03(月) 00:48:43.39 ID:9XAgl6KG0
◇
「……」
宙をたゆとうほむらの意識は学内の保健室へと舞い戻っていた。
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2012/12/03(月) 00:49:22.84 ID:9XAgl6KG0
「暁美さんはさ、どんな音楽聴くの?」
行きつけのCDショップに入り、慣れた足取りでクラシックのコーナーへ向かい乍らほむらに質問を投げるさやか。
……ほむらは答えなかった。だが其れは決して底意地の悪い企みからではない。
胸焼けの様にムカムカと膨らんだ不快感は咽喉元を迫り上がって嘔気にも似た感覚を催し、
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2012/12/03(月) 00:50:17.46 ID:9XAgl6KG0
「眼福眼福。ああいうお店は久し振りだったけど、女子たるもの相応のカルチャーに慣れ親しむっていうのは欠かしちゃいけませんなあ」
数時間前には天高く昇っていた太陽も傾き始め、時は世界を紅く染める夕刻。
以下略
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