過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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16: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/26(月) 05:22:36.32 ID:5OyPL7Mao
サキュバスAが、壁面の装置へと手をかけた。
鉄製のハンドルを回せば、ワルキューレの頭上から古めかしく金属が軋む音が聞こえた。
手枷に繋がれた鎖は、頭上のいくつかの滑車を介して、壁面のハンドルへと繋がっているようだ。
頭上で拘束された手枷が緩やかに持ち上がる。
肩へ僅かに痛みが走り、手枷が持ち上がるのに合わせて立つ。

ハンドルを回すのを止めると、まさに、『拷問中の捕虜』に相応しい姿になっていた。
頭上に両手を持ち上げられ、僅かに爪先立ちをして身体の重さを少しでも支えようと。
腕に覚えた気だるさと、手枷に手首が擦れる痛みで顔が歪む。
少しでもそれらを緩和しようと身体を動かせば、ぎぃ、と音を立てて頭上の滑車が不快な音を立てた。

サキュバスA「これでこそ、『拷問』ですわね。さて、どっちがいいかしら?」

ワルキューレ「……何、が……だ……!」

サキュバスA「うーん、『下ろせ』と凄まないあたり、ちょっとは理解できたようですわ。嬉しい事ね」

ワルキューレ「………」

サキュバスA「……それで、どっちがいいのかしら?」

意味不明な問いかけに、意味を把握しようと視線を淫魔へ向けた。
彼女は、左手に奇妙な道具を持っていた。
平行に二つの柄がついた、洋梨の形をした金属の器具。
大きさは、それこそ洋梨と同じ程度だ。
全体に、小さな棘がびっしりと生えている事以外は。

ワルキューレ「何だ……それは」

サキュバスA「人界で作られた拷問器具を知っておいで?……正確には、私達が人界へ伝えたのですけれど」

ワルキューレ「…………」

サキュバスA「使い方は簡単。……まず、貴女の大事な所にこれを入れて……こう、するのよ」

サキュバスAが二つの柄を握ってほんの少しだけ力を入れる。
がしゃんっ、という音を立てて、バネの仕掛けで金属の洋梨が勢いよく四つに割れた。
まるで魔界に巣食う虫の口吻のように、恐ろしげに。


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