過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:14:08.41 ID:PB+9q1/Uo

 どう説明するべきかを迷っているように、彼の視線は俺の顔と目の前の景色とを行き来した。
 そこには家があった。表札がある。郵便ポストがある。庭先に子供用の小さなブランコが置いてあった。
 二階の部屋のクリーム色のカーテンが視界に入った。

以下略



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:14:58.93 ID:PB+9q1/Uo

 俺の身の回りに変化が起こったのと同様に、彼女の身にもまた変化が起こった。
 それも、俺のものとは比べ物にならないほどに巨大な変化が。

 俺は夢で見たカリオストロの声を思い出した。
以下略



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:17:10.10 ID:PB+9q1/Uo




 雨が降り出したので、後輩を連れて喫茶店に向かった。彼女の家があった場所からは、そちらの方が近かったのだ。
以下略



211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:17:32.12 ID:PB+9q1/Uo

 俺は後輩に話を聞くことができなかった。
 彼女に何を聞くことができる?
 見間違いじゃないのか、道を間違えたんじゃないのか、気のせいだったんじゃないか。まさかそんな馬鹿げたことは言えない。

以下略



212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:18:09.12 ID:PB+9q1/Uo

 彼女の目は少し赤くなっていたし、決して平気そうではない(当たり前のことだ)。

 それでも後輩は、あたかも自分は平気だとでも言いたげにホットミルクをすすりはじめる。
 触れれば砕けてしまいそうな、ガラス細工のような作り物の微笑を浮かべていた。
以下略



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:18:35.51 ID:PB+9q1/Uo

 俺の懸念とは反対に、彼女の顔色はよくなってきた。血色が戻り、強がりではなく落着きはじめているらしい。

「どうする?」

以下略



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:19:52.96 ID:PB+9q1/Uo

「心当たり?」

「友達とか」

以下略



215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:20:29.98 ID:PB+9q1/Uo



 俺が中学にあがったときのこと。ついさっきまで忘れていた話だ。

以下略



216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:20:58.10 ID:PB+9q1/Uo

◇ 

 
「生まれた」ということは、そのまま、未来の死が確定されたということを意味する。
以下略



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:22:01.64 ID:PB+9q1/Uo

 だから俺は母の言葉に対して上手に反論することができない。

「俺だってアンタを選んで生まれてきたわけじゃない。生んでくれと頼んだわけじゃない」

以下略



218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/06(日) 18:23:06.02 ID:PB+9q1/Uo

 もちろん、親である以上、子供に対しては真剣に向き合うべきだとか、責任はとれとか、そういうお題目を唱えることはできる。
 責任をとれないのなら子供ができないように注意すればよいとか、そんなことだって言える。
(つまり"親に責任を取ってもらえない子供"は、生まれてこなかった方がマシだということだ)

以下略



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