6:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:10:49.43 ID:J+4mAWs60
押し殺した声でそう言われ、
涙はきょとんとして自分を指さした。
「あたし?」
7:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:11:35.55 ID:J+4mAWs60
そして背後の瓦礫に力なく寄りかかって俯く。
「そうかよ……」
「…………」
8:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:12:25.04 ID:J+4mAWs60
「大人は他人の安い挑発になんて乗らないよ」
「挑発になんて乗ってない! 僕は……」
「僕は僕はって、あんたは自分のことしか言わないね。
9:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:13:11.31 ID:J+4mAWs60
「は、は、はざま……にいさ、ま」
そこで、今までずっと黙っていた
愛寡がどもりながら口を開いた。
10:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:13:50.37 ID:J+4mAWs60
そういう風に他人に言われたのは、初めてのことだった。
愛寡は手を伸ばして、硲の服の袖を引いた。
「行か……な、ないで…………」
11:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:14:27.17 ID:J+4mAWs60
泉は悪くない。
悪いのは……。
そう、敢えて言うならば悪いのは自分。
12:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:15:19.71 ID:J+4mAWs60
「あたしに。兄さんに。みんなに感謝しなきゃ。
あんたが今こうしてここにいれるのは、
少なくともみんなのおかげなんだから」
「…………」
13:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:15:58.53 ID:J+4mAWs60
「姉さ……」
涙を呼び止めようとして、
しかし硲はまた服の袖を引かれて言葉を止めた。
14:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:16:32.46 ID:J+4mAWs60
「…………」
「トレーラーの運転だって、
兄さんは長いことしてないから忘れてるだろ
……僕がいなきゃだめだ」
15:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:17:43.94 ID:J+4mAWs60
*
「お姉ちゃんは駄目ね……
核が完全に破壊されてる。残念だけど、もう……」
16:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/08(火) 22:18:25.91 ID:J+4mAWs60
「目を……目を、開け…………開けて……」
「愛姉ェ。もう涙姉は死んデマス。あまり触らナイ方がイイ」
功刀が腕組みをしながら静かに言う。
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