1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:49:58.53 ID:+LQnK3JMo
あーあ、なんだかやる気が出ないな、かったるいな。
そんな気分で自宅を抜け出して、近所のコンビニに立ち読みに出かけたのが午後八時。
今日発売の漫画雑誌が置いておらず、不思議に思って店員に訊ねると、
「たしか、先週合併号だったはずですよ」
と驚愕の事実を告げられる。失意のままで他の漫画を読んでみるものの、なんだか気分が乗らない。
そんなとき、チャラチャラした茶髪男とケバケバした茶髪女の二人組が、ツーセット同時に店内に侵入。
四人が迷惑をかえりみずに大声で騒ぐものだから、眉間に皺を寄せたのは俺だけではないだろう。
エロ雑誌を値踏みしていた隣のおじちゃんとか、内心憤懣やるかたない心地だったはずだ。
イライラしていたし、ムカッときたのだ。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:50:24.55 ID:+LQnK3JMo
でもま、そんなことでいちいち怒ってたら、この世の中は生きていけないぜ、俺。
そんなふうに自分を慰めて、好みの漫画が載っていない漫画雑誌をペラペラめくって、不満をごまかした。
だが結局、俺は居心地の悪くなった店内を早々に離脱することにきめる。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:50:51.61 ID:+LQnK3JMo
「何だアレ」
もう一人が、なぜだか俺を指差して笑った。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:51:18.35 ID:+LQnK3JMo
――そんなわけで、追われていた。
「待てオラッ!」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:51:45.88 ID:+LQnK3JMo
「逃げんじゃねえよ!」
男の怒鳴り声が夜の住宅街に響く。ご近所の迷惑になるからやめてください。赤ちゃんがいる家もあるんですよ。
ああ、だが彼らは、人の顔色を気にしないという美徳の持ち主。赤ん坊なんて知ったこっちゃないぜベイベーな方々。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:52:15.57 ID:+LQnK3JMo
間近で、何かが弾けるような音がした。一瞬遅れて、缶が地面を跳ねる音だと気付く。炭酸が音を立てて夜道に噴き出た。
飲みかけの缶を投げたのだ、こっちに向けて。さっき買ったばっかりだろうに、もったいない。
おいおい、コーラ掛かったらどうするつもりだよ、べとべとになっちゃうだろ。……なんて場合じゃない。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:52:41.45 ID:+LQnK3JMo
「ちくしょう!」
俺は叫んだ。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:53:07.95 ID:+LQnK3JMo
ああもうだめ。足は確かに鍛えたが、俺は短距離ランナーだった。愛すべき瞬発力。花火のように一瞬の輝き。
もう疲れた。俺はアスファルトに倒れ込む。もう、煮るなり焼くなり好きにしてくれ。
息も絶え絶え崩れ落ちた俺の姿があまりに情けなかったからか、男たちは拍子抜けしたようで、何もしてこなかった。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:53:38.78 ID:+LQnK3JMo
ちくしょう。
最後に泣くことになったって、途中でたくさん笑えた方がいいに決まってるじゃねえか。
馬鹿親父、俺はなんかつらいぞ。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/25(金) 02:53:59.40 ID:+LQnK3JMo
コタツは戦場である。
領地争いは冷戦めいている。
一見なにも起こっていないように見えても、水面下では争いが繰り広げられているのだ。
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