過去ログ - 妹「なぜ触ったし」
1- 20
486:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:18:58.56 ID:5bdoEDiwo

 彼女は俺のことを「不幸な」子供だと思っていたようだった。
 複雑な家庭に育ち、ため込んだフラストレーションを部活動で発散していた男子。
 それすらも怪我で不可能になってしまい、行き場のない思いを抱えている、と。

 そういう誤解はかなり都合がよかった。悲劇の主人公を気取りたい気分でもあったのだ。すぐに飽きたけれど。
 彼女はそう言った「不幸な」境遇の人間と知り合うことが、自分の価値を釣り上げるものだと考えている節があった。
 
 というのは邪推かもしれない。けれど、そういうふうに感じた。
 
 そして俺も、彼女の期待通りに「不幸」であるように振る舞った。それは楽しいことだった。
 だから根本的に、俺は彼女に対して「正直」だったことはない。常に「演技」をしていた。
 そういう意味では、たしかに俺はアキの気持ちを弄んだとも言えるのだ。

 それでも俺は彼女のことが嫌いではなかった。むしろ、かなり好きだった。
 だから彼女に付き合おうと言われたときも断ることは考えなかった。
 ひょっとしたら彼女ならば、俺の『気の迷い』を振り払ってくれるかもしれないと期待もした。

 実際、それはかなりのところまで上手くいったのだ。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/524.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice