487:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:19:26.31 ID:5bdoEDiwo
モスはそんな俺の様子を見て眉をひそめていた。
アキの友人(決していないわけではなかったらしい)も、俺との付き合いを決してよいものとは思っていなかったようだ。
その時期、俺は、幼馴染とも、妹とも、まったく話さなかった。
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2012/06/15(金) 17:19:52.66 ID:5bdoEDiwo
「好きだよ」
と、そう答えるたびに、俺はだんだんと自分の中の熱が冷めていくのを感じた。
その言葉を放つ自分が、見知らぬ他人のように思えた。何度も繰り返されるたびに。
489:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:20:30.40 ID:5bdoEDiwo
茶髪がどうしてアキのことを知っているのかは分からないが、他校の人間と交流でもあるのだろう。
そういう経緯で彼らが仲良くなったところで、意外ではあるが不思議ではない。
そしてアキから、あるいは彼女の友人から、俺のことを訊いていたのなら、彼の言動も理解はできる。
490:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:20:58.55 ID:5bdoEDiwo
それでも茶髪は「アキにしたことをもっと考えるべきだ」と言う。どうして?
俺がアキにしたことは、あくまでも俺がアキにしたことだ。それをどうして今になって掘り返さなきゃいけないんだ。
ぐるぐるとまわり続ける方位磁針。
491:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:21:24.14 ID:5bdoEDiwo
俺と茶髪は適当な空き教室に入った。茶髪は教室の後ろに積まれていた椅子のひとつをとって腰かける。
俺は単刀直入に話をすることにした。
「どうしてお前がアキのことを知ってるんだ?」
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2012/06/15(金) 17:21:58.52 ID:5bdoEDiwo
「わかんねえのかよ」
と彼は言う。俺は目を細める。
493:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:22:39.81 ID:5bdoEDiwo
「お前が本当のところ、何を欲しがってるのかはしらない」
彼の話が続く。俺は頭を抱えたい気分だった。
494:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:23:05.70 ID:5bdoEDiwo
「それに、何の関係があるんだよ」
俺は言った。自分でも驚くことに、声が震えていた。
495:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:23:39.10 ID:5bdoEDiwo
「気に入らない」
茶髪は吐き捨てるように言った。うるせえよ、と俺は思う。
496:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:24:07.86 ID:5bdoEDiwo
遠巻きに俺たち二人を眺め、止めようともしない人間たち。茶髪はそういえば、学校でも浮いているらしい。
それは俺だっておんなじだ。だから誰も止めない。先輩が、こっちを見ている。
俺は茶髪に殴り掛かった。喧嘩なんて一度もしたことがなかったけれど仕方なかった。
497:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/15(金) 17:24:33.87 ID:5bdoEDiwo
つづく
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