21:参観日[saga]
2012/05/30(水) 23:07:48.70 ID:kWyICNRF0
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今度は自動でない扉の鍵を開けて、ほっと一息つく。
「ただいま」
22:参観日[saga]
2012/05/30(水) 23:17:55.14 ID:kWyICNRF0
宣言通り、今夜はオムライスを作った。
自分ではお店で出されるようなふわふわ感には及ばないと思ったけど、佐倉さんは「十分うまいよ」と言ってくれた。
片付け、お風呂、洗濯。
全ての家事を終わらせてからがようやく私の時間。
23:参観日[saga]
2012/05/30(水) 23:22:46.56 ID:kWyICNRF0
宿題が全部終わると、これで完全に私の時間。
と言っても特別することなんかなくて、テレビを見るか本を読むか。
昨日読みかけた本はどこまで読んだかな……
あまり面白くなかった気がするけれど、物語の終わりというのはどんなものでも気になる。
24:参観日[saga]
2012/05/30(水) 23:32:38.94 ID:kWyICNRF0
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爽やかな日が差す絶好の行楽日和、もしくは睡眠日和な日曜日だというのに、私は学び舎に向かうために早起きをしなければならなかった。
平日の休日のためとはいえ、本来の休みが潰れるというのは喜ばしいものとは言えない。
25:参観日[saga]
2012/05/30(水) 23:44:41.77 ID:kWyICNRF0
午前中の授業は短縮だったからか、どれもふわふわした空気に包まれていた。
午後から授業がある先生もない先生も、保護者が来る生徒も来ない生徒も、どこか浮足立っている。
このふわふわ感はオムライスに似ているかも、なんて思う。
私はというと、やっぱり自分で作ったオムライスみたいだった。
26:参観日[saga]
2012/05/30(水) 23:55:00.14 ID:kWyICNRF0
「ひゃっ!」
まるで幽霊にでも出会ったような声が出た。
「……どうした巴」
27:参観日[saga]
2012/05/31(木) 00:03:33.05 ID:ptRBUgCU0
『おう!ちょっと借りてるよ』
後ろに回ってしまったからその表情は全く分からないけれど、まず間違いなく笑っている。
それも、愉快な笑顔に違いない。
28:参観日[saga]
2012/05/31(木) 00:11:04.50 ID:ptRBUgCU0
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授業が終わって後ろを振り返った時、もうそこに佐倉さんの姿はなかった。
教室は一気にざわつき始め、先生が教室の扉を開けるのと同時に、中の空気と皆の肩の力が一斉に抜けた。
29:参観日[saga]
2012/05/31(木) 00:18:23.16 ID:ptRBUgCU0
学校を出てしばらく歩いたところにある公園で、私の服を着た誰かさんがベンチに座っていた。
さてと、どんな仕返しをしてあげましょうか。
「ロッソ」
30:参観日[saga]
2012/05/31(木) 00:23:42.74 ID:ptRBUgCU0
立ち上がって私に向き合ってきた。
大人になった佐倉さんをマジマジと見ていると、モヤモヤとドキドキとザワザワがごちゃ混ぜになったような感覚が襲ってきて、なんだか胸がそわそわしてくる。
この不思議な感情は何なのかしら。
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