過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」2
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(神奈川県)
[saga]
2012/06/05(火) 01:17:34.92 ID:Awj1Gu8/o
――実際のところキュゥべぇ、正確に言えばインキュベーターの関心は既に他に向けられていた。
結界より下ること、六〇〇〇キロ以上。
直径約一二〇〇〇キロメートルの地球。
そこでは、結界の中に太陽が発生したことが笑い話に思えるような異常事態が発生していた。
「これはまた、大胆に仕掛けてくれたものだね」
そう言葉を漏らしたのは、イギリスの街中をそろりと歩く一匹のインキュベーターだ。
彼は夜空を見上げながら、やれやれと首を振った。
「グリニッジ標準時間だと、今は誰も彼もが寝静まっている時間なんだけどね」
そう言って、彼はくるりと尻尾を振った。
その動作に連動して、影もまたくるりと尻尾を振るう。
……彼の近くに、街灯らしい街灯は見当たらない。
にもかかわらず彼が影を付き纏わせているのは、単純に空が明るいからである。
そう。
本来であれば星の光がいくつか瞬いている程度で、街灯が消えてしまえば瞬く間に真っ暗闇になるはずなのに。
その日のイギリスの夜空は、まるで太陽が昇っているかのように明るく、眩しかった。
原因は、彼の視線の先にある。
それは暗い夜空を貫くように打ち立てられた、光の柱だった。
柱は太陽の光の当たらぬイギリスから『小さな光』を吸い上げて、イギリスの大地を白く染め上げていた。
「これと同じ物が地球中で確認されているよ。
およそ一〇〇〇〇弱の光の柱が、地球という星から夜を奪ってしまっているんだろうね」
イギリスだけではない。
地球に浮かぶ六つの大陸全てでまったく同一の物が立ち上がっていた。
その事実に、しかしさして驚いた素振りを見せる様子も無く。
インキュベーターはすぐ目の前にいる一人の少女と老人を赤い瞳で捉えた。
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