64:猫宮[saga]
2012/09/18(火) 19:17:14.13 ID:ut//4wCb0
「ねえ、憂ちゃん……」
自分でも口先がちょっと震えるのを感じながら、言葉を出してみる。
胸が、高鳴る。
65:猫宮[saga]
2012/09/18(火) 19:18:22.40 ID:ut//4wCb0
「ねえ、折角だし、弾いてもいいかな?」
「うん、勿論だよ、梓ちゃん。
私、梓ちゃんのギター、聴いてみたいな」
66:猫宮[saga]
2012/09/18(火) 19:19:01.11 ID:ut//4wCb0
驚いた私は自分のムスタングに視線を向けた。
音を出しているのは確かに私のムスタングだった。
私のムスタングがこんな音を出せるなんて……。
そして勿論、私のムスタングを演奏しているのは……。
67:猫宮[saga]
2012/09/18(火) 19:19:29.68 ID:ut//4wCb0
私は何をしてるんだろう、って気にさせられた。
同時に思い出した。
私があの子に申し出をされてから、音楽を中断した理由を。
思い出さないようにしていた現実を、思い出さされた。
あの子と本当に演奏を続けたいなら、受験より何よりあの子を引き止めるべきだった。
68:猫宮[saga]
2012/09/18(火) 19:20:05.10 ID:ut//4wCb0
今回はここまでです。
こういう話でした。
またよろしくお願いします。
69:猫宮[saga]
2012/09/23(日) 17:47:33.26 ID:+GTu1/9c0
▽
70:猫宮[saga]
2012/09/23(日) 17:48:14.63 ID:+GTu1/9c0
辛かったのは、もっと別な理由。
それは、思ったより指が全然動かなかった事。
想像以上に、出来の悪い演奏になってしまった事。
あの子との練習を中断してから、確実に下手になってしまっている事。
その事こそが私の胸を強く痛めた。
71:猫宮[saga]
2012/09/23(日) 17:48:41.06 ID:+GTu1/9c0
それは多分、仕方が無い事なんだろうと思う。
私達は将来について考えなきゃいけなくて、出来ない事から消去法で消していくしかない。
あの子は自分の夢を見つけるためにも、
私の足を引っ張らないためにも、音楽の道を諦めるしかなかったんだ……。
辛い……、とっても辛いし、悲しいよ……。
72:猫宮[saga]
2012/09/23(日) 17:49:37.09 ID:+GTu1/9c0
「……あっ」
不意に私の頭の中に考えてはいけない望みが浮かび上がった。
昨日からずっと頭の中を過ぎっては目を逸らしていた、私のお願い。
73:猫宮[saga]
2012/09/23(日) 17:50:03.36 ID:+GTu1/9c0
瞬間、私は一つの言葉を思い出してしまった。
『地獄への道は善意で舗装されている』
74:猫宮[saga]
2012/09/23(日) 17:50:36.32 ID:+GTu1/9c0
今回はここまでです。
そろそろ折り返し地点となります。
またよろしくお願いします。
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