過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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[saga]
2012/08/06(月) 02:25:47.45 ID:OTk9gfUao
「……」
『三年。多少困る場面もありましたが、何とかなっています』
それで彼女が今までどういう処遇にあったのか理解する。
必要悪の教会は慈善事業ではない。
むしろ国軍、それも表沙汰にはできない分、秘密特務部隊と称した方がしっくりくる。
そんな中に放り込まれた個人級戦略兵器も同然の『聖人』。
恐らく彼女は『あの街』とは無関係なのだろうが、それでもやはり敵国の出身で。
風の噂に聞いた出自からはかなりの引け目があるようだ。
きっと彼女はいいように使われていたのだろう。
三年、という決して短くない時間に同情しない訳でもない。仮にも今は私の護衛で、パートナーだ。
初対面だが、そこに少しばかりの仲間意識を覚えてもいいだろう。そう思い、
「あ」
……そこでようやく思い出す。
護送対象のプロフィールを私は受け取っていない。
聖人である彼女が出てくるくらいなのだからよほどの人物なのだろうが――。
「きっと誰か教えてくれるわよね」
『はい?』
また『こっちの話よ』と手を振り、足を止めた。
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