過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:55:35.53 ID:4DOG5YTr0
「でも杉浦さんの生まれ変わりかぁ。
ミニマムサイズの杉浦さんを想像したら・・・ぷっ」
「ち、ちょっと松子ちゃん!せっかくいい話だったのに、想像させないでよ!」
「ごめんごめん。悪かったら、引っ張らないで!」
幸子ちゃんが、失礼な(?)想像をした松子ちゃんの襟元を掴んで離そうとしない。
「うふふ・・・無理もないわ。あの子、昔からあんな感じだったから」
「私の連れが、本当にすみません・・・」
私はただただ恥じ入るばかりである。
そうだ、せっかくいい話なんだから、話題を戻さなくては。
「でも、この赤ちゃんの名前・・・私、とっても好きです」
「ありがとう。私もこの子を産むまで、悲しい出来事とか色々あったけど、
この子には、“どんなに辛い時でも、幸せを見つけられる子”になってほしい。
そう思って、この名前にしたの」
「そうだったんですか・・・私もよくわかります。
この恵って名前を付けてくれたのは、去年天国に行ったお婆ちゃんなんです。
周りの人を慈しんで、思いやりのある子に育ってほしいという意味で、
私が、そんな人に本当になれるかどうかわかりませんが・・・」
「立派なお婆さまだったんですね。素敵ですよ、その名前」
「ありがとうございます」
「恵ちゃんの名前の由来、私初めて聞いたわ。
私はそのままズバリ、幸せになるように『幸子』って付けたらしいの」
「二人ともいいなぁ、私なんて『松竹梅』が縁起がいいからという理由で
松子なのよ。なんかちょっと残念・・・」
「あら、いいじゃない。ご両親はきっと古風で教養がある人なのよ。
いい名前だと思いますよ」
「そ、そうですか・・・。エヘヘ、ちょっと照れちゃうなぁ」
こうして私たち四人はしばらく談笑して、私は一足先に帰路に就いた。
松子ちゃんは渡辺さんの様子を見るため、途中で別れた。
幸子ちゃんはあと数日で退院できるという。本当に元気になってよかった。
杉浦さんのお姉さんもあと数日したら、
お子さんや旦那さんと一緒に東京に戻ってしまうため、
出会ったばかりなのに、今日でお別れである。
でも、きっとまた会える気がする。
特に根拠は無いけれど、心の中でそう確信していた。
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