過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:26:57.41 ID:4DOG5YTr0
帰り道、いつものように亜紀と一緒に下校して、
校門を出ようとしたその直前、ナオが声を掛けてきた。
「悪かった、キョウコ!
勝手にあんなこと言っちゃって、怒ってるよね。その・・・ゴメン」
語尾は呟くようで、あまり聞き取れなかった。
「あんただって、みんなのこと考えてたんでしょ。
わたしたちが『いないもの』になっても別に悪くなかったし、気にしないで」
そう言うと、ナオはばつが悪いのか「ありがと」と一言返して、
そのまま先に校門を抜けて、行ってしまった。
ナオの姿が見えなくなると、亜紀が私の腕をひしっと握りしめた。
「杏ちゃん・・・私たち、この先どうなるんだろう。大丈夫かな?」
亜紀はかすかに目を潤ませて、私をじっと見つめている。
「平気よ、亜紀。いざとなったら、またわたしが亜紀を守ってあげるから」
自分だって、全然心配ないと言えば嘘になる。
でも、不安に押し潰されそうな亜紀の手前、
そんな思いを顔に出せなかった。
「ありがと・・・杏ちゃん」
どんなことがあっても、この子だけは絶対に守らなきゃ。
わたしたちは手を固く握りしめ合ったまま、
夕暮れ迫る夜見山の街を、再び歩き始めた。
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