過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:29:10.55 ID:4DOG5YTr0

ホームルームが終わって、望月君と一緒に下校しようとした時、
ちょうど綾野さんも帰るところだった。

「綾野さん、残念だったね・・・」

僕は思わずそう言って、ため息をついてしまった。

「え?アハハハ、確かに落ちちゃったけど、私そんなに落ち込んでなんかないよ?
・・・もしかして、私に票を入れたのは高林君?」

「ハハハ、やっぱりバレちゃったか」

僕が苦笑していると、隣で聞いていた望月君は一人で合点していた。

「綾野さんはどう思う?今日のホームルームで決めたこと?」

「う〜ん、実は私が委員長に立候補したのも、ついさっき決めたことなの。
わざわざこういっちゃんがいない時にホームルームをやろうと言い出すなんて、
泉美らしくないな・・・と言うか、ちょっとカチンと来てね。
泉美への抗議って意味が強かったかな?立候補したのは」

僕以外にも、赤沢さんのやり方に不満を持ってる人はいたんだ。
そう思うと、自分だけじゃなく、共感する人がいてくれて少し嬉しかった。
それが赤沢さんと同じ部活の綾野さんだったのが、意外だったけど。

「こういっちゃんは優しくて親切だし、それをのけ者にした挙げ句、
勝手に『いないもの』にするなんて、可哀想だもん。
おまけに卒業するまで会話もできないなんて、そんなの嫌だよ・・・」

「そうだよね・・・。ボクだって、せっかく友達になれたのに、
今になって無視するなんて、悪い気がするよ。勅使河原君も反対してたし・・・」

他にも結構、反対意見は多かったのか。確かに9票は多かった気がする。

「でも綾野さんは凄いよ、後になってグチグチ言ってる僕と違って、
真っ向から赤沢さんに挑んだんだから。見習いたいな・・・」

「ううん、私だって別に深く考えたわけじゃないし。
でも、色々話せてちょっとすっきりできたかな?
あ、そうだ!『いないもの』は明日からなんだし、
今日ならまだ話ができるかも。あ〜、でも私は部活があるからなぁ」

そうだ、まだ間に合う。今日はまだ榊原君は『いないもの』じゃない。
僕は大切なことを見落としていた。

「じゃあね。高林君、望月君」

そう言って綾野さんは部室へ向かっていった。
僕も今のうちにできることをしなければ・・・!
そして都合がいいことに、下駄箱でちょうど榊原君が待っていた。

「やぁ、帰ろうか」

戸惑う望月君に対して、僕は「うん」と頷いた。



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