過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:58:54.66 ID:4DOG5YTr0
◆No.5 Makoto Ohji
運命の8月8日当日。
僕たちは、合宿場となる咲谷記念館に向かって足を進めていた。
合宿の参加者は、僕の他にも猿田、風見君、勅使河原君、
榊原君、見崎さん、望月君、赤沢さん、杉浦さん、小椋さん、有田さん、
前島君、和久井君、川堀君、辻井君、柿沼さん、渡辺さん、金木さんと松井さん、
そして引率の三神先生と、第二図書室の司書である千曳先生の合計21人。
同じ部活の多々良さんは、家の事情でここには来ていない。
学校前に集合して、夜見山市内を回る市営バスに乗ったが、
うちの学校は比較的夜見山に近いため、すぐに最寄りの停留所に着き、
後はひたすら、なだらかな坂を上っていくだけである。
三神先生が提案した今回の合宿は、
かつて山の中腹にある夜見山神社にお参りしたところ、
災厄がぴたりと止まったことから、今回もあやかろうとしたのだろう。
でも、もしお参りの御利益で呪いが消えるのなら、
3組では毎年行われているはずだし、
本当に効くのかな?という疑念を、僕だけでなくみんなも抱いたはずだ。
その証拠として、学校で集まった時、クラスのみんなは
修学旅行の時のような、独特のテンションの高さが全く見られず、
誰もが黙り込んだままである。
これから行くというのに、むしろ修学旅行の帰りのような静寂に包まれ、
なんともおかしな気分だった。
バスの中でも、こうして今歩いている時でさえも、
よほど仲の良い友達同士でない限り、目を合わせようともせず、
ずっと気まずい空気が流れている。
「しっかし、なんか辛気くさくて、背中がかゆくなるのう」
そんな中、猿田はいつもの通りだった。
いや、わざと陽気に振る舞って、沈鬱なこの場を
なんとか明るくしようとしたのかもしれない。
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