過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:08:05.42 ID:4DOG5YTr0
私が再び登校したのは、5月11日の月曜日。
治った途端、第二土曜で休日になってしまったため、
学校は10日ぶりのこととなった。
学校の授業は、一通り遅れを取り戻せるだけの自身はあるが、
そんなことより、恒一くんの方が気になって仕方なかった。
国語の時間、久保寺先生の退屈な俳句の説明を適当に聞き流しながら、
私は恒一くんの方に何度も視線を向けた。
恒一くんがそれに気づいたかどうかはわからないけれど・・・
放課後、下校しようとする恒一くんを捕まえることに成功した私とゆかりは、
お見舞いの時に言えなかった分、矢継ぎ早に質問攻めを始めた。
この時も、たぶん私は焦りで苛立っていたのだろうと思う。
「そう、生まれたのは夜見山の病院なんだ」
「すぐ東京に戻ったみたいだけどね」
「それからずっと東京?帰省とかで戻ったりは?」
「母さんは僕を産んですぐに死んじゃったから」
「そう・・・」
「なんで、そんなことを」
「どこかで会った気がするのよ。どこかで・・・」
「人違いじゃないの?」
「それも含めてね、確かめたいの。苛つくのよ」
私の苛立ちは二重のものだ。あの時のことを思い出せない自分。
そして目の前に気になることに囚われ、本題になかなか入れない自分。
腕を組みながらぶつぶつと呟く私を見て、ゆかりはきょとんとしている。
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