過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:20:23.05 ID:4DOG5YTr0
「違う・・・見崎さんは『死者』じゃないのっ!!!」
「「嘘っ!!!」」「「マジかよ!!」」「そうなの!?」
杏ちゃん、辻井君、渡辺さん、川堀君、柿沼さんの五人全員が驚愕した。
「ちょっとどう言うこと、ちゃんと説明してよ!」
渡辺さんが私の肩を揺らしながら、必死に聞き出そうとする。
「やめなさいよ、ナベ!・・・ほら、亜紀がこんなに怯えてるじゃない?
・・・さあ、亜紀。ゆっくりでいいから、私に教えて、ね?」
杏ちゃんが庇うように、そして幼子をあやすように優しく問いかけた。
「う、うん・・・」
「あのね・・・今年の春、杏ちゃんと遊園地でデートした時、
私、“二人の”見崎さんをを見たの」
「二人?それって、どういうことなの?」
柿沼さんの質問に私は続けた。
「一人は眼帯をかけたいつもの見崎さん、
もう一人は眼帯をかけてない両目のある見崎さんだったの。
何かの見間違いとかじゃない、だって二人が楽しそうに喋っていたもん」
「そっか。あの時、言われてみれば・・・」
杏ちゃんも思い出してくれたようだ。
それまで見崎さんを血眼で追いかけていたみんなも、
憑きものが取れたように、正気を取り戻していく。
良かった・・・、勇気を出して伝えられて、本当に良かった。
のろまでグズで、いつもみんなの足を引っ張ってばかりの私でも、
みんなのために役立てた。それが一番嬉しかった。
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