過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:20:52.32 ID:4DOG5YTr0
その後、渡辺さんからこの合宿所の異変を聞き、
私と杏ちゃんは奥の階段を降りて一階に向かい、
運良く有田さんが見つかったら回収しつつ、外へ避難。
渡辺さんをはじめとする他の四人は、フロントを抜けて外へ出る手筈となった。
一階に下りようとした頃から、辺りは恐ろしい勢いで炎に包まれ始めた。
急がなくでは。
さっき小椋さんとぶつかった時に足を挫いたのか、
杏ちゃんは、右足を引き摺っている。
「杏ちゃん、私が支えてあげる」
「亜紀・・・ありがとう」
杏ちゃんの左腕を肩に乗せ、二人三脚のように支えながら、
私たちは燃え広がる廊下を、杏ちゃんが無理しない程度に先を急いだ。
「ごめんね・・・亜紀。わたし、亜紀を守るって言ったのに、
今日は亜紀に迷惑かけっぱなしで・・・」
「ううん、そんなことないよ。今まで杏ちゃんが助けてくれたおかげだもん。
私だって、杏ちゃんの役に立ちたいよ」
「そっか・・・、ありがとう。今度こそ、わたしが亜紀を守・・・」
杏ちゃんの言葉が途切れた。
よろめく杏ちゃんの目が突然カッと見開いたかと思うと、
口から紅いものを吐き出し、そして・・・前のめりになって倒れた。
「あぁっ・・・!、杏ちゃん!?」
杏ちゃんの背中に突き刺さっているもの、それは・・・
包丁!?
嫌でも、久保寺先生が死んだ時の忌まわしい記憶が蘇る。
その包丁に向かって手が伸び、捻るように抉り取ると、
杏ちゃんは掠れるような声を上げて痙攣したかと思うと、
・・・動かなくなった。
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