過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:22:40.51 ID:4DOG5YTr0
その後の一連の出来事は、ご存じの通りである。
あたしたちが戻った時、既に小椋は廊下に出ていた。
小椋はこちらに向かってきた見崎に斬りかかるも、
例の転校生・・・榊原に手痛い反撃を喰らってしまった。
キョウコもひどい巻き添えだ。
しかし小椋は持ち直すと、見崎たちを追いかけ、そして・・・
あたしたちの目の前で、窓から姿が消えた。
この部屋はヴェランダがない。下を覗き込むと、小椋が仰け反っていた。
が、間もなくバランスが崩れて『パシャーン』と音を立てると、
小椋は大の字のように、仰向けのまま倒れた。
動かない。頭から血が流れていくのが、二階からでも見える。
後から来た松子も、中庭を見下ろす。
止めようとしても、もう遅かった。
松子は瞳孔が開いたかと思うと、いきなり部屋を飛び出して
そのまま奥の階段へ走り去ってしまった。
それよりまず『死者』を・・・と思った矢先、
今度は松井が「見崎は『死者』じゃない」言い出してきた。
逸る私をキョウコが抑えて、松井はゆっくりと事情を説明した。
杉浦の言っていたことは矛盾している。
じゃあ、あたしたちはとんだ無駄足だったのか。
無駄足どころじゃない。最悪、小椋は・・・
と、『ドスン!』と大きな音が二階の廊下に響き渡る。
何事かと、あたしたちが松子と反対側の方へ向かうと、
フロントに繫がるドアが閉められていた。
ここには鍵がかかっていない。けど、何かに塞がれているみたいで、
川堀が力任せにこじ開けようとしても、ドアはびくともしない。
一方、辻井が辺りをキョロキョロ見回していた。
「三神先生がいない・・・!」
柿沼に話を聞くと、さっき辻井がモップで見崎を倒そうとした時に、
三神先生がそれを庇って、倒れてしまったらしい。
頭から血を流していたため、かなりの大ケガと思われるが・・・
「ここにいないってことは、たぶん外へ逃げたんだろう。
大丈夫だ、心配するな。それよりもだな・・・」
「ナベ。わたし、亜紀と一緒に奥の階段使って降りるわ」
突然、キョウコが口を開いた。
「さっき降りていった有田が気になるでしょ?
もしかしたら一階をまだうろついてるかもしれないし・・・」
確かにそうだ。しかし、ここで別行動は危険じゃないだろうか?すると、
「金木!じゃあ、俺も付いていくぜ!」
川堀が会話に割り込んできた。
「ダメよ!あんたは男でしょ。
ドアを何とかする力仕事は、男のあんたがやらなきゃ・・・」
「でもよ!俺だって、あいつがどうなったか不安なんだよ!」
記念写真を撮った時からだいたい予想が付いていたが、
川堀のやつ、まさか本当に松子に惚れていたとは・・・
しかし、いつまでも水掛け論にかまってる暇は無かった。
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