過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:23:47.85 ID:4DOG5YTr0
「出口はあそこだ!」
階段を転ばないように、急いで、でも慌てずに、
小刻みな歩きで降りていく。
やっと階段を下りきった。出口は目の前にある。
その安堵が油断を生んだのか、
もはや出口以外に誰も視線を向けていなかった。
今までにない不気味な音が聞こえる。
するとその刹那、天井から信じられないものが降ってきた。
いち早く柿沼がその異変に気づいたようだ。でも、もう遅い。
あたしたち四人全員が、
天井から落ちてきたシャンデリアの下敷きになってしまった。
あたしの躰を、なにかが突き破っている。
生きたまま串刺しにされたような、想像を絶する痛みが躰を貫いた。
その痛みがあたしの意識を辛うじて保っている。
ふと、隣を見ると川堀がシャンデリアから這い出ようとしていた。
いち早く抜け出した川堀が、まっすぐ出口へ向かうのが見える。
いや、待て。
その左にある柱がぐらぐらと揺らぎ始める。
「ダメだ、行くな!」
声が出てこない。
聞こえるわけもないあたしの叫びが届くはずもなく、
まるで川堀めがけて倒れだした柱は、巨大な音を立てながら
彼をそのまま押し潰した。
断末魔すら聞こえない、一瞬の出来事だった。
「あのバカ野郎、ここまできて・・・」
再び意識が朦朧としてきた。あたしもこんなところで死ぬのか。
視界が暗くなっていくのがわかった。
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