過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)2
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15:マリアと 3/7 ◆1ImvWBFMVg[sage]
2012/08/13(月) 00:06:34.85 ID:w5RtmRbo0
午前中のうちに掃除を終わらせると、日中はそのほかにやることはほとんどなかった。別棟の家畜小屋で飼っていた山羊を放牧させるくらいだろうか。
山羊は大人しく、放っておいても遠くに行くことはなかった。教会の近くの草原で寝転がり、空を見上げながら時間を過ごした。なにもなかった。吹き抜ける風と暖かい日差しと、空だけが、目の前一面に広がっていた。
よく朝方の拭き掃除の興奮を思い出してしまい、そのまま手淫にふけることもあった。だがあまり上手くはいかなかった。マリア像の硬く冷たい感触を思い描いているのに、実際に触れているのは柔らかく生暖かい自分の肌で、それが興奮を萎えさせていた。

 暑い日は、山羊を川べりに連れて行き水浴びした。水をかけてやると山羊も喜んでいるようだった。持っていた手ふきで体を洗ってやる。山羊の体は硬く締まり、掛けられた水で冷やされていた。
以下略



16:マリアと 5/7 ◆1ImvWBFMVg[sage]
2012/08/13(月) 00:07:39.78 ID:w5RtmRbo0
持たない。その日告白は行われなかった。

まるで判で押されたように同じ毎日が続くなか、ただ季節だけが通り過ぎていった。
あれだけ熱中した山羊との交尾もそのうち慣れきってしまい、手淫と変わらない味気ない物に成り下がっていた。余程の欲求不満でもない限りやらなくなっていた。
聖書の方は一先ず全編を読み終わり、二回目の読み込みに入っていた。もちろん以前としてさっぱりよく分からないままで、ただ字だけを追っているだけであった。
以下略



17:マリアと 5/7 ◆1ImvWBFMVg[sage]
2012/08/13(月) 00:09:34.38 ID:w5RtmRbo0
一瞬山羊が人の言葉を喋ったのかと思い、心臓が口から飛び出そうになった。もちろん違った、たぶん酪農家の家族の一人なのだろう。
「小さいのに修道服なんか着て…あぁそう、あなたがあの例の男の子なの」
おそらく神父から色々と聞いているのだろう。その妙齢の女性は、こちらを興味深そうに眺めて確認している。
やはり落ち着いた雰囲気に、どこか山羊を思わせる面影を持っていた。そのため、目を合わせることが出来なかった。周りが暗いためよくは見えないが、どうやら綺麗な女性のようだ。神父以外の人間と触れ合うのは久しぶりで、どう対処していいか分からなかった。
「山羊に会いに来てくれたのかな。でもごめんね、報告遅れたけど、もうあの山羊は人に貰われて行っちゃったの」
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18:マリアと 6/7 ◆1ImvWBFMVg[sage]
2012/08/13(月) 00:10:49.45 ID:w5RtmRbo0
でも最後までやるのを我慢して、その日はそこで帰ることにした。彼女はなにも言わなかった。

教会の講堂で神父が山羊に会いに行ったかどうか尋ねてきた。
「どうでした。山羊は元気にしていましたか」
 その質問には答えず、手に持っていた聖書の中の『娘』という一文字を指差して突き出した。すると神父はしばらく眉をひそめてから、合点がいったように手を打った。
以下略



19:マリアと 7/7 ◆1ImvWBFMVg[sage]
2012/08/13(月) 00:11:36.56 ID:w5RtmRbo0
はいわくというか、理由があるんですよ」
 神父は思い出したように付け加えた。彼女とマリア像が似ている原因があるとは一体どいうことだ。
「あのマリア像はね、彼女の先祖代々に受け継がれてきたの品物なんですよ。教会に元からあった物ではなくてね。元々は聖母マリア像というよりは、美しい娘をモデルに模った嗜好品です。それを教会に寄附して頂いたのが数十年前だとか」

 急にすべてが色あせてしまった。教会のマリア像も、酪農家の娘も。あの地主とのことだってどうでも良くなった。
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2012/08/13(月) 00:12:16.56 ID:tuKYVoTuo
おつかれさまでした。余裕がありましたらまとめスレに転載もよろしくお願いします。
yy46.60.kg

では、◆7az9zC1iQsさん投下どうぞ

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21:聖娼婦るなるな 1/6 ◆7az9zC1iQs
2012/08/13(月) 00:15:28.83 ID:x3dEhYxz0
僕のような強欲な愚鈍にとって、他者とコミュニケーションをとろう?とする?手段はほぼ三つに限られる。
1.呻き声をあげる
2.血を流す
3.無意味な物語を作る
これだけだ。呻き声をあげる、というのはまさにそのままだろう。血を流す、というのは、ただ自身が思うもっとも重い鈍器で自分を殴ろうとすること
以下略



22:聖娼婦るなるな 2/6 ♯はみ出る
2012/08/13(月) 00:17:53.84 ID:x3dEhYxz0
「いつも通り、お祈りだ。でも、同生たちの間での夏祭りがあるらしい。そっちにいこう」
同生というのは父さんと僕の信仰している宗教での他の信者の呼び名だ。今はその集会へ行く夜道の途中だった。ポスターを照らす電灯には集まった蛾が
くるりくるりと奇妙に踊っていた。
「へー、蛾も盆踊りをするんだな」という明るい声が脳内で再生された。笑い声つき。母さんの笑いと声だ。もう一年前の会話なのに良く覚えている。
覚えてるのは、きっと、その直後に母さん自身が踊ったからだ。ばかばかしく、蛾が踊るように倒れたからだ。倒れ、頭をコンクリートに強打し、地面に
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23:聖娼婦るなるな 3/6 ♯はみ出る
2012/08/13(月) 00:19:44.64 ID:x3dEhYxz0
玄関からはずっと長い廊下が見えている。しかしその壁には、辺り一面びっしりと様々な色で二重丸が書かれている。赤、青、紫、黄色とどぎつい色で
だ。その奇妙な廊下にいつもながら圧倒された僕は、廊下の奥にある人を探す。いた。十三才。聖女。
いや、ただの少女。手を振るこの笑顔の持ち主はただ一人しか居ない。
ーーるなるなだ。
「あ、ギックンとおじさん! もう集会始まるよー」
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24:聖娼婦るなるな 4/6 ◆7az9zC1iQs
2012/08/13(月) 00:22:39.49 ID:x3dEhYxz0
「でもどーせなんだしさ、プレゼントぐらいもらっておけばいいのに」
ぷくー、と口を膨らます。
「どうせ、明日使うのに」
そうだ。るなるなは、コレ、の扱いに慣れている。クーラーが聞いてないせいか、ぴらぴらとはためかせ小さすぎる団扇がわりにしているほどだ。
るなるなは、信者の相手をしている。祈祷という理由で。信者たちの欲望とういう毒を消す為にだ。
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25:聖娼婦るなるな 5/6 ◆7az9zC1iQs
2012/08/13(月) 00:25:04.59 ID:x3dEhYxz0
「でしょー。じゃなくてさ、ギックン。わたしを犯さないといけないよ。あのね。そうじゃないといられなくなる。わたしは、るなるなは、もっとギック
ンと話したいよ? なんてことないじゃない。?君のお父さんだってやってること?だよ?」
違うんだ、父さんもやっていることだからやりたくないんだ。そう言いかけて止まる。もっと、言わなければいけないことがあったからだ。
「大丈夫、しなくても一緒にいれる」僕は彼女の瞳を見つめる。
「なんで、絶対に無理だよ? 欲望で汚れてるって言われて、ここどころか集会にもいけないかも」るなるなは心配そうな顔をしている。
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