過去ログ - ビッチ
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707:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 23:10:32.80 ID:Upuk+rYRo

 叔母さんが着替えをしている間に、僕は明日香にメールした。叔母さんが記憶を取り戻
した。でもだいぶ落ち着いているのであまり心配はいらない。気分転換にどこかに行きた
いと言うので叔母さんに付き添ってドライブしてくるから。

 メールの内容はそういうことだった。少しだけ迷ったけど、結局僕はメールの本文の最
後にこう記した。自分が明日香を裏切っていることは承知していたのに。

『明日香のこと誰よりも愛してるよ』

 叔母さんが着替えを終えて寝室からリビングに姿を現した。僕の記憶の中では叔母さん
はいつも仕事のできる大人の女だった。服装もそういう格好が多かったと思う。だから着
替え終えて目の前で外出の支度を始めた叔母さんの姿はとても新鮮だった。

 キャリアウーマンのような叔母さんと僕が寄り添って歩いても恋人同士に見るはずがな
い。逆に言うとそんな不釣合いな二人が手でも繋いでいたら周囲の好奇の視線に晒されて
しまうだろう。そんな僕の不安を裏切って、叔母さんの服装はラフだけど若々しいものだ
った。茶色っぽい無地のパーカに細身のシルエットのジーンズ。ちょっと気を抜いた普段
着姿のモデルという感じだろうか。でも全体に野暮な感じは全くしない。ファッション雑
誌の編集をしているから当然といえば当然なのだけど。

「じゃあ行こうか」

 叔母さんが僕に手を差し出した。僕は遠慮がちに叔母さんの小さな手を握った。まるで
女子大生か若いOLとデートしているような感じといえば近いかもしれない。

 叔母さんは部屋のドアをロックしてエレベーターに乗り込んで、駐車場のある地下一階
のボタンを押そうとした。

「あ、一階でいいよ。車はマンションの前の道路にあるから」

 何者かによってここまで運ばれた車は路上に放置されていた。多分その何者かが叔母さ
んを窮地から救ったのは間違いないけど、その人物もさすがに地下の駐車場の正しい位置
まで車を運ぶことはできなかったようだ。

 僕はエレベーターの中で叔母さんを発見したときの様子を説明した。車内で僕に抱きつ
いたことを聞いた叔母さんは慌てた様子だった。

「そんなところを明日香にも見られたんだ」

 僕は笑った。

「うん。あいつも最初は怒っていたけど結局ね」

 僕は明日香の奇妙な指示を叔母さんに打ち明けた。明日香の気持ちは僕同様叔母さんに
も届いたらしい。それで少し僕たちは沈黙した。

「叔母さん失格だね。明日香にそんな気をつかわせるなんて・・・・・・」

「叔母さん」

「・・・・・・でも今日だけはあたし、あんたとこのままデートしたい」

「僕も」

 エレベーターのドアが開いた。


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