15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:13:52.64 ID:i6e9y6l20
目を合わさなければ、声はおぼろげにしか聞こえてこない。
この鳥はなにかを言っているようだった。鳴いていた。私は知らない振りをした。
それでも、だめだった。
たすけて。
聞こえたら最後、私はその声に耳を傾けてしまう。
たすけて。
こどもがてきにおそわれて、あのみどりのなかにおちてしまってうごけないの。たすけて。
この鳥は親鳥らしかった。
窓から身を乗り出すようにして風にそよぐ木の枝の一本を掴んだ。確かに重なった葉の奥、絶妙な具合に枝と枝との間に挟まっている小鳥がいた。
このまま揺らしたら落ちるだろうか。けれどその前に、あの辺りを大きく揺らすには距離が遠すぎた。
なにかないだろうか。そう思考を巡らしたところで、私は鞄の中に入っている折り畳み傘の存在を思い出したのだ。
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