16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:14:47.79 ID:i6e9y6l20
今思えば教室にある箒でもよかった。けれどそのときは気持ちが急いていて、折り畳み傘を伸ばし、太い枝を叩くことしかできなかった。
最初は弱く、それではまったく意味がないと悟ってからはだんだんと強く。
ガサガサと騒がしく揺れる葉と、同じようにして揺れ動く小鳥のからだがすいっと挟まれていた枝々から抜け出したのは何分そうして格闘していたかわからなくなる頃だった。
「あっ」
弱っていた小鳥は咄嗟のことで羽根を広げた。
一瞬降下しかけたからだはすぐに上空へと舞い上がっていく。
親鳥もそれを見て、まるで傷付いていることなど感じさせない強さで小鳥の元へ飛んでいく。
ありがとうと声が聞こえたっきり、もうその親子は振り返らなかった。折り畳み傘はいつのまにか、どの骨もぼきぼきに折れていた。
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