過去ログ - 奉太郎「守りたいもの」
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1: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:18:10.05 ID:y3939tJH0
VIPでスレ落ちした氷菓のミステリSS、その立て直しです。

・アニメの来週放映分のネタバレがあります
・第五巻「二人の距離の概算」とは矛盾する箇所があります

以上のご理解の上ご覧ください。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:19:48.43 ID:y3939tJH0
 千反田えるは好奇心の亡者である。

 俺は千反田との、僅か一年足らずの部活動を通して、早くもそれを実感している。学校の七不思議然り、氷菓事件然り、合宿での幽霊事件然り、その判断材料には事欠かない。帰納法的に正しいと言えるだろう。
 だが、帰納法は所詮経験則でしかない。千反田にも好奇心が発揮されない不思議があると考えるのが当然だろう。かつての経験則より、人を容易く判断することに対して俺は慎重だ。決して二度と同じ轍は踏むまいと心に決めている。

以下略



3: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:21:09.55 ID:y3939tJH0
「失礼な。俺だってそれくらい気にする」

「やらなくてもいいことはやらない、だろ?」

「さすがに気持ちを斟酌するのはやらなきゃいけないことだ」
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/03(月) 22:21:32.11 ID:YH4/AQqIO
いいって、VIP帰れって!

応援してるからさ、な?


5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:23:05.06 ID:y3939tJH0
「お前は用事はないのか?」

 総務委員会と手芸部を古典部の他に掛け持っている男だ。おいそれと暇になることがなさそうなものだが。
 俺の心理を読んだのか、里志は口角を上げてニヒルに笑う。全く青瓢箪には似合っていない。

以下略



6: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:24:47.76 ID:y3939tJH0
 頭を働かせずに歩いていると里志が俺を追い抜いた。チェーンの回る音を響かせながら、手を振って進んでいく。
 俺と里志は中学から同じで、一緒にいる期間も時間もそこそこ長いが、どうしてか連れ立って帰ることはなかった。

 見る人が見ればその関係は「冷たい」と言われてしまうだろう。
 冷たいといえば空気である。冬休みも終わり、あとは春休みを待つだけの身であるが、気温は心情の気楽さを読み取ってはくれない。まだまだ冬の日が続くそうだ。
以下略



7: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:27:16.30 ID:y3939tJH0
 が、里志曰くの「桁上がりの四名家」のお歴々が揃いも揃って神山高校に籍を置いている辺り、エリート層であっても学問に身を入れようという教育はあまりされてないのかもしれない。
 校則が厳しいと噂のブレザーたちでも下校時の道草は許されているらしい。勉強はやらなくてはいけない部類に入るが、だからこそ手短にするべきだ。

 彼らの向上心は俺には恐らく縁がない。
 入口に入るあたりで、店に入るセーラー服と、出ていくブレザーがニアミスを起こす。スクールバッグ同士がぶつかり、お互いの中身が多少ばらまかれた。
以下略



8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:28:44.70 ID:y3939tJH0
 新刊の期待もほどほどに、平積みされた本の山に視線を通していく。店内にはポップや店員からのおすすめ紹介などがひしめいていて、実に自己主張の強い場となっていた。
 躍る惹句は「春休みの読書感想文にどうぞ! 名作文庫フェア」を筆頭に、学生の長期休暇にちなんだものばかりだ。

 他に目につくのは映画化の紹介や万引き防止を促す張り紙。しかし俺が見たいのはそれではなく、今月の新刊一覧である。
 結果から言えば、今月は俺の購読している漫画は、新刊が出ないようだった。とはいえすぐに帰るのも何なので、少し店内を散策する。
以下略



9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:29:30.93 ID:y3939tJH0
 ふと俺が入ってくるときの出来事を思い出す。これは恐らく、あのどちらかのものだろう。
 中身を見れば持ち主のプロフィールもわかるだろうが、さすがにそれはプライバシーの侵害だ。自宅の電話番号くらい入ってそうなものだが、はてさて。

 店員に渡すのが妥当と判断し、店内へと戻ろうとするが、ちょうど子連れがこちらに向かってくるところだった。母親らしき人物の両隣りに、男の子と女の子。通路一杯の幅を使っている。
 半ば押し出されるような形で、俺はなんとなく店外へ出てしまった。なんだか戻るのも躊躇われて、
以下略



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