過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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661:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 13:57:10.09 ID:v7ebsIP3o

 わたしは空を見上げている。ずっと見上げている。夜空は変わりなく夜空だった。
 暗闇はどうしようと暗闇だった。幾度見ても暗闇のままだった。どうしようもなかった。そこに置き去りにされているだけだった。

 何がわたしを不安にさせていたんだろう?
以下略



662:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 13:57:53.44 ID:v7ebsIP3o

「不安だから、死ぬのか」
 
 とケイくんは言った。それはあたりだ、とわたしは思った。

以下略



663:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 13:58:24.47 ID:v7ebsIP3o

 ……いや、違う。順序が逆だ。わたしが死んだから、お兄ちゃんは死んだのだ。
 ……そうだったっけ? でも、どうしてわたしが死んだからって、お兄ちゃんまで死んでしまうんだろう。
 
 順番が、狂っている。
以下略



664:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 13:58:54.67 ID:v7ebsIP3o

「なあ」

 とケイくんが不意に声をあげた。

以下略



665:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 13:59:21.66 ID:v7ebsIP3o

「どこに行きたいの?」

「分からない」

以下略



666:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 13:59:49.08 ID:v7ebsIP3o

「離れて、どうするの?」

「……分からない」

以下略



667:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 14:00:16.96 ID:v7ebsIP3o

「それはちょっと無責任だと思うけどね。
"そのあと"のことが誰かの生活に影響を及ぼすかも知れない。
 悪い結果が目に見えてても、やりたければやるしかないって思うの?」

以下略



668:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 14:01:05.06 ID:v7ebsIP3o

 もちろんそんなことはありえない。
 現実にわたしは死んでいる。現実的な意味で死んでいる。比喩的な意味でどうであれ。
 それだけは魔法使いに確認するまでもなく間違いない。

以下略



669:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 14:01:30.73 ID:v7ebsIP3o

「だってわたしたちは自分の意思で選んだわけじゃない。自分の意思と現実の流れの摺合せの中でここにたどり着いただけなんだから。
 それは結果的なものであって意思的なものじゃない。
 目的的なものじゃない。クラゲみたいに流されて、流れの中でぼんやり方向を決めて泳ごうとしてるだけ。
 でもわたしたちはクラゲじゃない。クラゲじゃないからいつだって苦しい。いつだって悲しい」
以下略



670:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/03(月) 14:02:00.62 ID:v7ebsIP3o

「どうしようもないよ」

 と、太陽が角度を変え始めた頃にわたしは言った。

以下略



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