10: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:10.56 ID:La4hkDje0
える「そこからです。何だかいつもと調子が違ったのは。
そうです。折木さん、いつもはわたしの方を見ても、チラチラと視線を外すことが多いんですが、そのときは……」
摩耶花「?」
える「その、真っ直ぐわたしの眼を見つめて、話をしてきました。よっぽど自信があったんでしょうか。
とにかく、わたしも負けじと、折木さんの眼を見つめ返しました。気迫だけでも、負けてはいけないと思ったんです。
やがて折木さんの話は終わりましたが、わたしたちは、見つめ合ったままでした。
いえ、にらみ合っていた、といった方が正しいかもしれません。そうしてしばらく経ちました」
わたしは、話のラストスパートに向けて、ほうっ、と息を吐きました。
摩耶花さんも、もう笑うこともなく、真剣に話を聴いてくれています。
える「だんだん頭がぼうっとしてきました。多分折木さんもそうだったと思います。眼が虚ろでしたから。
何分くらい、そうしていたでしょうか。5分? 10分?
もっと長かったような気もしますし、本当はもっと短かったのかも知れません。
そして、わたし達は……」
摩耶花「ゴクッ……」
える「どちらからともなく、顔を寄せ合って、そ、その……。くち、唇と唇を、重ね合わせたんです……」
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