8: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:09:53.83 ID:La4hkDje0
摩耶花「で? で? 何があったの? まさか折木の奴に告白されたとか!?
……いやそれはないか。あの省エネ主義者が進んで色恋沙汰に精を出すわけないもんね。
え? 何? じゃあちーちゃんの方から迫ったの!? きゃーーー!!」
あの……。
9: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:10:32.87 ID:La4hkDje0
わたしと摩耶花さんは、並んで椅子に腰掛けました。
える「昨日の放課後は、部室にはわたしと折木さんの二人だけでした。
わたしが来たときは、既に折木さんがいて、いつも通り折木さんは、椅子に座って本を読んでいました」
10: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:10.56 ID:La4hkDje0
える「そこからです。何だかいつもと調子が違ったのは。
そうです。折木さん、いつもはわたしの方を見ても、チラチラと視線を外すことが多いんですが、そのときは……」
摩耶花「?」
11: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:46.61 ID:La4hkDje0
こうして改めて思い返すと、顔から火が出そうです。多分今、わたしの顔は真っ赤でしょう。
える「その後は至って普通でした。そんなことがあったのに、わたしも折木さんも、何事もなかったかのように振舞いました。
帰り際、折木さんが言いました。そのときの会話だけは、何故だかよく憶えています。
『なあ、さっき花瓶が出てきただろ。あれに花でも活けたらどうだ?』
12: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:12:22.92 ID:La4hkDje0
摩耶花「ちーちゃんは、折木のことが好きなのね」
える「……」
……そう、なんでしょうか。いえ、そうなんでしょうね。
13: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:12:56.77 ID:La4hkDje0
える「おっ、お見苦じいところを、ひくっ、お見せしましたぁ」
摩耶花「ううん。ほら、涙拭いて」
そう言って、摩耶花さんは、ハンカチを差し出してくれました。
14: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:13:26.09 ID:La4hkDje0
わたしは、折木さんのことが、好きです。
昨日のことは、わたし、一生忘れないでしょう。そして、今日のことも。
摩耶花「……さてと、それじゃ、わたしそろそろ」
15: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:14:08.33 ID:La4hkDje0
その日の放課後、俺は図書室にいた。
といっても、特に用があったわけではない。何となく、古典部には足が向かなかったのだ。
……いや、何となくではないな。俺は自嘲気味に笑う。
16: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:14:35.96 ID:La4hkDje0
いや、でもそれは、俺の望むところではないのか?
今どき、キスひとつで、惚れた腫れたでもあるまい。
何より俺は、自分の信条として、省エネ主義を掲げている。その心は。
17: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:15:16.66 ID:La4hkDje0
俺はまた笑った。
俺は変わりたいのか? 何かを変えたかったのだろうか?
神山高校に入学して、俺は古典部に入り、千反田と出会った。
18: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:15:49.38 ID:La4hkDje0
顔を上げ、息を吐くと、里志と目が合った。
奴は、頭を掻き、ニコニコ笑みを浮かべて、近づいてくる。
こいつ、さては今まで、俺を観察していたな?
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