過去ログ - 異形使い「あなたを追ってここまで来た!」
1- 20
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/14(金) 20:54:32.01 ID:9g80DiCqo

 悲鳴――というよりはただ単に驚いただけか、声が上がる。
 相手に手傷を負わせることまでは期待していなかったが、それでも襲われている御者から注意をそらすだけの効果はあった。
 今回御者を失うわけにはいかない。人員が足りていないのだ。賊に襲われて人数を減らすのは避けたかった。

「なんだ!?」
 だみ声。馬車を取り囲んでいるどの賊が発したものかは分からない。砂に汚れた男たちの十数の視線がこちらを向く。
 馬さえも静まり、半秒ほどの沈黙が落ちた。賊の一人が呆然と呟くのが聞こえた。
「異形使い……」

 所属を一目で知らせる以外に、顔を隠す黒装束には一応の意味がある。
 一つには個人としての異形部隊を知られるのを防ぐため。
 もう一つには、これが意外と重要なのだが、容貌を隠すことによって相手を威圧するためだ。
 考案した者が意図したかどうかは別として、敵対する者から抵抗の意思を奪うのに今回もまた一役買っている。

 加えてティナの個人的な事情として素性を隠す必要もあったのだが、これは別の話である。

 ざわつく賊を無視し、御者に避難するよう手振りで伝えた。
 這うように逃げる御者に、だが賊たちは見向きもしなかった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
197Res/110.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice