過去ログ - 異形使い「あなたを追ってここまで来た!」
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177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:34:10.13 ID:34106HQPo

 歩きながら話そう、とバジルは促した。
「あの晩、確かにあの若造は外郭付近にいたようじゃ。数人がそれらしき人物を目撃しとる」
「もしそれがドナートなら、じゃあ、やっぱり彼には犯行は不可能?」
「じゃろうな。さすがに聖教会本部とは距離がありすぎる」
以下略



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:34:37.18 ID:34106HQPo

「面倒ならほっぽり出しときゃいい。違うか?」
 ティナを一瞥してバジルが言う。
 事実を淡々と告げる口調だ。確かにそれは事実であって残酷であろうとも正論だ。
 とはいえ。
以下略



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:35:07.32 ID:34106HQPo

 部屋の中、ドナートは静かに窓の外を見ていたようだった。
 ティナたちが入室してもしばらくは視線を動かさなかった。

 考え事でもしていたのだろうか。それに水をさすような後ろめたさを感じながら、ティナは咳払いした。
以下略



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:35:39.56 ID:34106HQPo

「この件は、まあこれでひと段落ね」
「そうじゃな」
 人気のない廊下を歩きながらバジルと話す。

以下略



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:36:11.45 ID:34106HQPo

「いや、詳しくは聞けなかったんじゃがの。若造の身内についても一応探って、その時に妹がいる、と」
「もしくは、いた?」
「そうじゃ」

以下略



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:36:40.61 ID:34106HQPo

「それでも家族の安全を天秤にかけるなら部隊を頼るはずでしょ」
「儂に言われてもな」
 腕を組んでバジルはうめいた。

以下略



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/18(木) 21:37:08.50 ID:34106HQPo

 ドナートがひそかに町を脱出しようとしていたという話はそれなりに納得できる。
 異形使いであることを隠してこの町で長生きするのは不可能だからだ。
「だから逃げ出そうとした?」
「さて」
以下略



184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/10/18(木) 21:37:35.48 ID:34106HQPo
つづきます


185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:11:14.05 ID:s6F6/qjgo

 静かな夜だった。自然に目が覚めるには穏やか過ぎるほどだ。
 だからティナは自然に目が覚めたわけではなかった。揺さぶられて起きた。
「な、なに……?」

以下略



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:11:48.23 ID:s6F6/qjgo

「それより早く準備せい。何やら怪しい」
「怪しい?」
「あの若造が公舎を抜けだしたようじゃ。窓の開閉音がしたから外を覗いたら、あやつが走っていくところじゃったよ」

以下略



187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:12:24.85 ID:s6F6/qjgo

「なんでドナートは公舎を?」
 夜の道を走りながら呟く。
「わからん」
 先を走るバジルが首を振る。
以下略



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:13:01.59 ID:s6F6/qjgo

 ドナートは聖教会本部襲撃の容疑で神官兵から暴行を受けていた。
 それを保護したのがティナたちだ。
 一応のこと容疑は晴らせる見通しで、しかしここでは今までと同じようには暮らしていけないとの見通しのため、ティナは異形部隊への入隊を勧めた。
 だからきっかけがあるとすれば。
以下略



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:13:30.53 ID:s6F6/qjgo

 ふと思い出すことがあった。
 密入出。そして、妹。もう死んでいるのかもしれない、というバジルの言葉。

 と、月明かりに照らされた道の上に、立ちつくす若者の背中を見つけた。
以下略



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:13:59.67 ID:s6F6/qjgo

「俺にはやらなきゃいけないことがあるから……」
 言って、ドナートは再びこちらに背を向けた。
「どういうことだ」

以下略



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:14:45.56 ID:s6F6/qjgo

 ドナートは空を仰いだ。
「脱出には随分と苦労した。手引きしている奴と接触するのも、金を用意するのも大変だった」
 その目に映るのは、夜空の星か、それとももっと別のものか。
「それでもなんとか脱出の手前までは行ったんだ」
以下略



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/30(火) 17:15:16.59 ID:s6F6/qjgo

 ドナートの背中が震える。俯いて、拳を固めている。
「あいつ、悔しかったろうな。痛かったろうな」
 震える腕に、異形使いの印がある。

以下略



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/10/30(火) 17:15:44.65 ID:s6F6/qjgo
つづきます


194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/10/30(火) 17:49:27.94 ID:p2PaUhEO0



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]
2012/10/31(水) 03:44:32.02 ID:ngO+/eI5o
きになるぜえ


196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 17:28:19.36 ID:r74gml+co
生存報告


197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/01/12(土) 10:26:28.06 ID:mav5XjwIO
はよ


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