過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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2012/09/16(日) 04:23:02.50 ID:2r6A/1tO0
>>12
すまん、パンツ脱ぐような話じゃないんだ…
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2012/09/16(日) 04:23:48.34 ID:2r6A/1tO0
「そうだな、まず、文集のときの一件以外に理由があると仮定しよう」
「はい」
「一、俺が実は昔から遠垣内と知り合いだった」
自分で言って、俺はそんな馬鹿な、と胸で吐き捨てた。千反田はきょとんとしている。
「小学校が一緒だったんですか?」
以下略
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2012/09/16(日) 04:24:30.53 ID:2r6A/1tO0
「二、俺が自覚の無いまま、実は俺が遠垣内に感謝されるようなことをした」
「したんですか?」
「いや、自覚が無いから分からない」
「折木さん……真面目にやってますか?」
「ああ、真面目だぞ」
以下略
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2012/09/16(日) 04:25:15.59 ID:2r6A/1tO0
お前のことだ、俺が推測したことをそのまま伝えるんじゃないかと思った。「折木さんが言ってたんです」と付け加えてな」
その通りなのか、千反田は恥ずかしそうに顔を俯けた。
「まあ、そういった経緯があって、俺に感謝したって不思議じゃないだろう」
「で、でもですよ? それは折木さんが自覚していらっしゃるじゃないですか!」
「遠垣内が、『折木奉太郎が自覚していない』と思っていれば、この説は成り立つだろう」
以下略
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2012/09/16(日) 04:26:33.28 ID:2r6A/1tO0
「ですが!」
千反田はまだ得心がいかないのか、ずいっと俺に詰め寄ってきた。近い。
「文化祭で壁新聞部の評判が急上昇したというのは、折木さんの想像です。論理的ではありません!」
「お、憶測なんだから、想像する以外ないだろう」
「でもでも、違うと思うんです!」
以下略
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2012/09/16(日) 04:27:21.49 ID:2r6A/1tO0
「三、三だ。俺がこれからも遠垣内とよろしくする関係にある」
「そうなんですかっ?」
だから、近いと言っている。いや、口には出していない。段々、刑事に詰問される容疑者の気分になってきた。
「いや、そんなつもりは今のところない。あ、今その気になったぞ。うん、そうだ、お世話になった先輩だ、年賀状のやり取りぐらいするかもしれんぞ」
「嘘はいけません! だって折木さん、私とだって年賀状のやり取りをしていないじゃないですか!」
以下略
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2012/09/16(日) 04:29:20.97 ID:2r6A/1tO0
「大体、別段意味なんてなかったかもしれないじゃないか。千反田のついでというだけかもしれん」
「ですが……それだけで、遠垣内さんが、あんな表情を……」
俺はそのときの遠垣内の顔を見たわけではないから、何故千反田がこんなにも引っかかっているのか分からない。仮に俺がその場にいたとしても、遠慮、懐かしみ、と千反田は感じたらしいが、俺はそれすら分からなかっただろう。
時間にして、三分ほどだろうか、沈黙が続いた。その間に俺はウィスキーボンボンを三つほど平らげ、彼女を宥める方法を、もう一度捻り出そうとしていた。
そして、一つの結論に至り、俺は、ちくりと胸の奥が痛んだ。
以下略
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2012/09/16(日) 04:30:41.41 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
千反田はすっかりしゅんとしてしまい、膝元に目線を落としている。俺は腕時計で時刻を確認した。一時前だった。
「さっき、お前は別れについてこう言ったな。「別れる時、その人が自分にとってどれだけ大事だったかを知る、大切な機会」だと」
「……はい、言いました」
以下略
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2012/09/16(日) 04:32:35.30 ID:2r6A/1tO0
千反田が息を呑むのが分かった。また、胸が疼くような感覚がした。
千反田は、どうして、別れを惜しむ人が一人なのかといぶかしんでいるのだ。どんな些細な思い出でも、共有した時間が二人にあり、一方がそれを懐かしく思うなら、もう一方もそうであるに違いないと。
「……すまんな」
「あ、そんなっ、折木さんが謝るようなことじゃありません!」
「だが、これでお前の疑問は解消された」
以下略
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2012/09/16(日) 04:36:11.86 ID:2r6A/1tO0
俺は奥歯で、唇の内側を噛んだ。
しばらく風が窓を叩く音だけが部室に流れていた。そのなかで俺の心臓は低く、ゆっくりと、けれど全身に響き渡るぐらい、大きく脈打っていた。
「……すみません。仕方のないことを、私は、折木さんに押し付けてしまいました。私は、遠垣内さんとは昔から面識があります。ですから、私が遠垣内さんの卒業を祝福すると共に、寂しいと思う気持ちを持つのは当たり前です。でも、折木さんは、私ではありません。
……ごめんなさい、折木さん」
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2012/09/16(日) 04:39:01.03 ID:2r6A/1tO0
「別に、ただ俺がお前ほど感傷的じゃない、それだけの話だ」
「いいえ、折木さんは、大切な人の思い出を蔑ろに出来る方ではありません」
はっきりとした口調で、千反田は話した。それは誤解だ、と否定したい。
俺は時折、彼女の真っ直ぐさを、純粋さを、直視できなくなる。千反田の愚直なまでの心根に、触れてはいけない気がして、自分に嫌気が差すのだ。
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