49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2012/09/30(日) 12:26:22.19 ID:eSSveo1wo
「あとはオリバンダーの店だけだ……杖はここにかぎる。杖のオリバンダーだ。最高の杖をもたにゃいかん」
魔法の杖……これこそ杏子が本当に欲しかった物だ。
最後の買い物の店は狭くてみずぼらしかった。剥がれかかった金色の文字で、
扉に【オリバンダーの店――紀元前三八二年創業 高級杖メーカー】と書いてある。
埃っぽいショーウィンドウには色褪せた紫色のクッションに、杖が一本だけ置かれていた。
中に入るとどこか奥の方でチリンチリンとベルが鳴った。小さな店内に古くさい椅子が一つだけ置かれていて、
ハグリッドはそれに腰掛けて待った。四人は、天井近くまで整然と積み重ねられた何千という細長い箱の山を見ていた。
なぜか背中がゾクゾクした。埃と静けさそのものが、密かな魔力を秘めているようだった。
「いらっしゃいませ」
柔らかな声がした。三人は跳び上がった。ハグリッドも跳び上がったに違いない。古い椅子がバキバキと大きな音をたて、ハグリッドは慌てて華奢な椅子から立ち上がった。
目の前に老人が立っていた。店の薄明かりの中で、大きな薄い色の目が、二つの月のように輝いている。
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